個別原価計算とは、受注ごと、製品ごと、案件ごとに原価を集計し、それぞれの製造原価を計算する方法です。建設業、造船業、機械製造、システム開発など、同じものを大量生産するのではなく、仕様の異なる製品やサービスを個別に提供する事業で利用されます。

個別原価計算では、原価を集計する単位として、製造指図書を設定します。例えば、A社向け機械、B社向け機械というように案件ごとに製造指図書を発行し、それぞれについて材料費、労務費、経費を集計します。

直接材料費は、各案件で実際に使用した材料の数量と単価を基礎として計算します。直接労務費は、作業員がその案件に従事した作業時間や作業量を基礎として集計します。外注費など、特定案件へ直接対応させることができる経費も直接経費として賦課します。

一方、工場の減価償却費、管理者の人件費、水道光熱費など、複数案件に共通して発生する製造間接費は、特定案件へ直接ひも付けることができません。そのため、作業時間や機械稼働時間など合理的な配賦基準を設定し、各製造指図書へ配賦します。原価計算基準では、製造間接費について予定配賦率を用いることを原則としています。

製品が完成すると、その製造指図書に集計された原価が完成品原価となり、未完成であれば仕掛品として貸借対照表に計上されます。

個別原価計算では、案件ごとの材料投入、作業時間、外注費を正確に記録することが重要です。適切な原価管理を行うことで、決算書の正確性だけでなく、案件別の採算管理や見積価格の精度向上にもつながります。

関連コラム:総合原価計算とは