ふるさと納税の2026年10月からの変更点

2026年10月から、ふるさと納税のルールが一部変更されます。今回の改正は、寄附をした人の税額控除の仕組みを変更するものではなく、主に自治体が提供する返礼品や、寄附金の募集にかかる経費についてルールを厳格化するものです。

大きな変更点の一つが地場産品基準の明確化です。これまでも、区域内で製造・加工され、返礼品の価値の過半がその地域で生じていることが求められていました。2026年10月以降は、原則として価格に基づいて付加価値割合を算定し、返礼品を製造する事業者がその内容を証明し、自治体が公表する仕組みとなります。

そのため、これまで返礼品として提供されていた加工食品や工芸品などの一部が、基準を満たさず対象外となったり、内容が変更されたりする可能性があります。

もう一つの変更が、自治体に実際に残る寄附金を増やすための募集経費の見直しです。最終的には、寄附金の60%以上を地域のために活用できるようにすることが求められます。ただし経過措置があり、2026年10月から2027年9月までは52.5%以上、その後段階的に割合が引き上げられます。これに伴い、返礼品の寄附金額の引上げや内容量の変更などが生じることも考えられます。

一方、寄附額のうち2,000円を超える部分について一定の範囲で所得税・住民税の控除を受ける仕組みや、ワンストップ特例制度は今回の改正では変更されません。

2026年10月以降もふるさと納税そのもののメリットがなくなるわけではありませんが、希望する返礼品がある場合には、制度改正前後で寄附金額や内容が変わっていないか確認することが大切です。

【参考】財務省:令和8年度税制改正の大綱

関連コラム:ふるさと納税の2025年10月からの変更点

iDeCoの2026年12月改正

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、2026年12月1日から大きく制度が改正されます。今回の改正では、掛金の上限額が引き上げられるほか、加入可能年齢も拡大され、老後の資産形成と税負担の軽減という両面で、これまで以上に活用しやすい制度となります。

特に大きく変わるのが会社員・公務員などの第2号加入者です。企業年金がない場合、iDeCoの掛金上限は現在の月額2万3,000円から月額6万2,000円へ大幅に引き上げられます。企業型DCや確定給付企業年金(DB)などに加入している場合は、企業年金等とiDeCoを合わせて月額6万2,000円が上限となります。したがって、実際に拠出できるiDeCo掛金は、企業型DCの事業主掛金やDBの「他制度掛金相当額」などによって異なります。

また、自営業者・フリーランスなどの第1号加入者については、iDeCoと国民年金基金等を合わせた上限が月額6万8,000円から7万5,000円へ引き上げられます。一方、会社員等に扶養されている第3号加入者の上限は月額2万3,000円のままです。

さらに、一定の要件を満たす方については、iDeCoの加入可能年齢が70歳未満まで拡大されます。高齢期にも働く方が増える中、60歳以降も税制優遇を受けながら資産形成を継続できる点は大きな変更です。

iDeCoの掛金は、その年に支払った全額が小規模企業共済等掛金控除として所得控除の対象になります。そのため、所得税・住民税の負担が大きい方ほど、掛金増額による節税効果も大きくなります。

新しい限度額は、2026年12月分の掛金から適用されます。掛金を増額する場合には手続が必要となるため、勤務先の企業年金制度や他制度掛金相当額を確認したうえで、無理のない範囲で拠出額を検討することが重要です。iDeCoは原則として途中で自由に引き出すことができないため、節税効果だけでなく、生活資金や将来の資金需要も踏まえて活用しましょう。

【参考】私的年金制度、iDeCoの改正のポイント(厚生労働省)

関連コラム:iDeCoについて

ワーキングホリデー帰国後の確定申告

ワーキングホリデーで海外に滞在し、帰国後に確定申告は必要かという相談を受けるケースが増えています。海外で得た収入の取扱いや、日本の税務との関係はやや複雑であり、居住者区分や所得の種類によって申告の要否が変わります。

1.まず確認すべきは居住者区分
税務上の出発点は、その年に日本の居住者かどうかです。
一般的には、日本に生活の拠点(住所・居所)がある場合には居住者となります。

2.居住者の場合の課税関係
居住者に該当する場合、全世界所得課税が適用されます。
つまり、海外で得た給与、現地でのアルバイト収入も含めて、日本で申告が必要となります。

3.非居住者期間がある場合
ワーキングホリデー中に非居住者となっていた期間がある場合は、日本源泉所得のみ課税となります。
そのため、滞在期間ごとの区分整理が重要です。

4.外国税額控除の活用
海外で所得税を納めている場合、外国税額控除を適用することで、二重課税を防ぐことが可能です。

5.実務上の重要ポイント
(1)収入の把握
海外の収入については、現地の給与明細や証明書の保管が重要です。
(2)為替換算
海外所得は、円換算して申告する必要があります。
通常は支払時の為替レートを使用します。
(3)社会保険との関係
帰国後の国民健康保険・年金の手続も併せて確認が必要です。

ワーキングホリデー帰国後の税務は、居住者区分の判定、海外所得の取扱い外国税額控除がポイントとなります。

海外所得は日本に戻った時点で申告義務が生じる可能性があります。
ワーキングホリデーは貴重な経験ですが、税務上の整理を怠ると後から修正申告が必要になることもあります。帰国後は早めに所得状況を整理し、適切な申告を行うことが重要といえるでしょう。

【参考】国税庁:居住者・非居住者の判定

関連コラム:個人事業主の税金と社会保険

競馬に関する税金の取扱い

競馬で得た払戻金は、運が良ければ非課税と誤解されがちですが、税務上は原則として課税対象となります。特に問題となるのが、所得区分の判定です。一時所得として扱うか、雑所得として扱うかによって税額が大きく異なるため、正しい理解が不可欠です。

1.基本は一時所得
競馬の払戻金は、通常は一時所得として扱われます。
一時所得の計算は以下の通りです。
(払戻金 − 当たり馬券の購入費 − 特別控除50万円)× 1/2
外れ馬券の購入費は原則として経費にならない点に注意です。この点が税額を押し上げる要因となります。

2.雑所得となるケース
例外的に、以下のような場合には雑所得と認められる可能性があります。
・継続的に大量の馬券購入
・独自の予想モデルを使用
・客観的に事業性・営利性がある
これは過去の裁判例でも認められた考え方です。

雑所得のメリットとして、外れ馬券も経費として控除可能です。

3.実務上の重要ポイント
(1)所得区分の判断
最大の論点は所得区分の判断です。
一時所得 → 税負担大
雑所得 → 経費控除可能

(2)記録の保存
雑所得を主張する場合には、購入履歴・収支データの保存が必須です。

(3)申告漏れリスク
高額払戻金は、税務署に把握される可能性が高いため、無申告はリスクが大きいです。

競馬の税務は、原則は一時所得、例外的に雑所得と考えられ、所得区分で税額が大きく変わるという特徴があります。

競馬の税金は、勝った金額ではなく所得区分で決まります。
競馬は娯楽である一方、税務上は厳格に取り扱われる分野です。適切な所得区分の判断と記録管理を行うことで、不要な税務リスクを回避することが重要といえるでしょう。

【参考】国税庁:競馬の馬券の払戻金に係る課税について

特定役員退職手当とは

退職金は通常、退職所得として大きな税制優遇が認められています。しかし、役員としての在任期間が短い場合には、この優遇が制限されることがあります。特定役員退職手当は、短期間で多額の退職金を受け取ることによる租税回避を防止するために設けられています。

1.特定役員退職手当の概要
特定役員退職手当等とは、役員としての勤続年数が5年以下の者が受け取る退職金をいいます。
ここでいう役員には、取締役、執行役、監査役などが含まれます。

2.通常の退職所得との違い
通常の退職所得は、(退職金 − 退職所得控除)× 1/2で計算されます。
特定役員退職手当の場合には(退職金 − 退職所得控除)という算定式となり、1/2課税の適用がありません。

3.税負担への影響
上記の1/2課税の適用の有無で、課税所得が2倍になるため、税額が大幅に増加する可能性があります。
特に、短期間で高額な退職金を設定した場合は、想定以上の税負担となる点に注意が必要です。

4.実務上の重要ポイント
(1)勤続年数の判定
役員としての在任期間で判定されるため、従業員期間は含まれない点が重要です。

(2)複数回受給との関係
短期間に複数回退職金を受け取る場合、控除調整ルールと併せて適用される可能性があります。

(3)退職金設計への影響
役員就任直後の退職や、M&A後の短期退任などでは、特に注意が必要です。

役員退職金は期間で税制が変わります。

役員退職金は金額が大きい分、税務インパクトも非常に大きくなります。特定役員退職手当に該当するかどうかを事前に確認し、適切な支給タイミングや金額設計を行うことが重要といえるでしょう。

【参考】国税庁:役員等の勤続年数が5年以下の者に対する退職手当等(特定役員退職手当等)

関連コラム:退職所得とは