法人税の中間納付

中間納付の制度の趣旨
なぜ、法人税の中間納付を実施する必要があるのかというと、中間納付をすることで、法人税の確定申告の際に1年分の多額の法人税を支払うという会社の資金繰りの負担を軽減するのを目的としています。また、国庫の財政収入を均等にして財源を確保する目的もあります。

中間納付の対象法人
前年度の法人税額(年税額)が20万円を超える場合に中間納付が必要です。

中間納付の方法は、予定納税と中間申告の2つがあります。
予定納税は、予定申告によって納付税額を割り出す方法です。
中間申告は、事業年度開始日から6か月末までの中間日までを一事業年度とみなして仮決算に基づいた納付税額を計算する方法です。

また、中間納付の時期になると、所轄税務署から金額が記載された予定申告書(中間申告書)が送られてきます。

中間納付の留意点
中間納付の納付期限を過ぎると延滞税が発生するのでご留意ください。
また、中間納付金額が、法人税の確定申告で決定した納税額より多い場合には法人税が還付金として戻ってきます。
経営が前年度より悪化している場合には、法人税は半期で仮決算をして、中間申告をすることで納付税額を抑える方法もあります。

 

【参考】国税庁:法人税の中間(予定)税額の算出方法について


関連コラム:消費税の中間納付

ペットに関する税金

ペットを飼育するにあたって、税金が課されたり、所得控除や税額控除があるのかという点についてご説明致します。
答えは、追加の税金も課されませんが、所得控除や税額控除もありません。

犬税がかつて日本では存在していました。
昭和50年代での話ですので、すでに廃止されています。

なお、諸外国では、犬税が施行されています。
ドイツにおいては犬種によってですが、1頭目は90ユーロから犬税がかかります。
その他、中国では北京や広州で犬税が導入されています。

世界では犬税は導入されている国がありますが、猫税は導入されていないようです。

なお、ペットにかかる医療費や保険料は、所得税における医療費控除や生命保険料控除といった所得控除にはなりません。

また、ペットフードには消費税の軽減税率は導入されていませんので10%の消費税が課税されます。

【参考】国税庁:税務大学校 犬税

関連コラム:消費税の軽減税率制度

オープンイノベーション促進税制

オープンイノベーション促進税制は、令和2年4月1日から令和4年3月31日までの間に、国内の事業会社やCVC(コーポレート・ベンチャーキャピタル)を対象に、スタートアップ企業とのオープンイノベーションを目指す法人が、スタートアップ企業の新規発行株式を一定額以上取得する場合に株式の取得価額の25%が所得控除される制度です。
新しいテクノロジーやビジネスモデルを持つベンチャー企業と事業会社が提携してイノベーションを起こしやすくすることを目的とした制度です。

対象法人

制度の対象となるのは、青色申告書を提出する法人、特定事業活動を行うもの(事業会社)が対象です。純粋な投資会社は対象外です。

スタートアップ企業の要件

投資対象のスタートアップ企業は以下のすべての要件を満たす必要があります。

・株式会社であること
・会社の設立日から10年未満であること
・金融商品取引所に未上場であること
・既に事業を開始していること
・対象法人とのオープンイノベーションを行っている又は行う予定であること
・一つの法人グループが株式の過半数を有していないこと
・法人以外の者が3分の1超の株式を有していること

出資の要件

5年以上の株式の継続保有を見込んで、一定額以上の現金の払込みによりスタートアップ企業の新規発行株式を取得する投資が所得控除の対象となります。
・資本金の増加を伴う現金による出資であること
・1件あたり1億円以上の出資であること
(対象法人が中小企業の場合は1,000万円以上、スタートアップ企業が海外法人の場合は5億円以上)
・オープンイノベーションに向けた取組の一環で行われる出資であること
・取得株式の5年以上の保有を予定していること
・純出資等を目的とする出資ではないこと

所得控除の上限額

1回の払込みの額のうち100億円までがオープンイノベーション促進税制の対象となり、所得控除の上限額は投資1件あたり25億円となります。一事業年度あたりの出資額の合計は500億円まで、一事業年度あたりの所得控除の上限額は125億円までです。

特別勘定の経理
オープンイノベーション促進税制による所得控除を受けるためには、対象となる取得株式(特定株式)の25%以下の金額を、特別勘定として経理し、株式取得の日から5年間は特別勘定を維持する必要があります。
5年以内に対象法人が任意に特別勘定を取り崩した場合、その取り崩した金額を、取り崩した事業年度の税務申告において益金算入します。


【参考】経済産業省:オープンイノベーション促進税制

関連コラム:繰越欠損金及び欠損金の繰戻しによる還付

消費税の中間納付

消費税を初めて納付した次の年度から、消費税の中間納付を実施しなければならない会社、個人事業主もいらっしゃいます。急な消費税の中間納付があると資金繰りに影響が出ますので、消費税の中間納付をご説明致します。

中間申告書の提出が必要な事業者として、前年度に消費税の年税額(国税分)が48万円を超える会社、個人事業主が該当します。
なお、課税期間の特例制度を適用している事業者は、中間申告書を提出しなくてかまいません。

直前の課税期間の確定消費税額 48万円以下 48万円超から400万円以下 400万円超から4,800万円以下 4,800万円超
中間申告の回数 不要 年1回 年3回 年11回
中間申告提出・納付期限 各中間申告の課税期間末日の翌日から2月以内 各中間申告の課税期間末日の翌日から2月以内

※1
※2

中間納付税額 直前の課税期間の
確定消費税額の6/12
直前の課税期間の
確定消費税額の3/12
直前の課税期間の
確定消費税額の1/12
1年の合計申告回数 確定申告1回 確定申告1回
中間申告1回
確定申告1回
中間申告3回
確定申告1回
中間申告11回

※1:課税期間開始後の1月分は、その課税期間開始日から2月を経過した日から2月以内。
※2:1月分以後の10月分は中間申告対象期間末日の翌日から2月以内。

消費税の中間納付の税額計算自体は、前期の納税額を割り算で算出するものなので、比較的容易なものです。消費税の確定申告時に差額を納税(消費税を納税しすぎの場合には還付)することとなります。

【参考】国税庁:中間申告の方法

関連コラム:法人税の中間納付

 

FXの利益に関する確定申告

FXは、株式の特定口座のような源泉徴収制度がないため、利益が出た場合に原則、確定申告が必要となります。FXで多額に利益が生じた方の確定申告が心配にならないよう、FXに関する税金についてご説明致します。

FXとは
FXは、「Foreign Exchange」の略称で、外国為替証拠金取引を指します。外国為替取引を証拠金で行う取引で、総取引額の現金の受渡しではなく、売買の損益の受渡しのみで取引が完結します。

FXの税額の計算

・FXでの損益の計算方法
「差金決済による為替差益」-「差金決済による差損」+「スワップポイント」-「必要経費」=「FXの利益」となります。

なお、投資顧問会社に支払う年会費及び成功報酬は、先物取引に係る雑所得等の計算上必要経費に算入することができます。


・FXで利益が出た場合
FXの利益が生じた場合には、FXの利益が「先物取引に係る雑所得等」として申告分離課税で所得税及び復興特別所得税15.315%+地方税5%の税率で課税されます。

・FXで損失が出た場合
FXで損失が生じた場合には、他の「先物取引に係る雑所得等」の金額との損益通算は可能です。
一方で、先物取引に係る雑所得等以外の所得の金額との損益通算はできません。

なお、「先物取引に係る雑所得等」は、現物先物取引、現金決済先物取引、指数先物取引、オプション取引、指数現物オプション取引、カバードワラント取引による利益を指します。

言わば、FXと他の先物取引の損益は通算して税額の計算はできても、それ以外の所得や取引の損益とは通算できないというものです。

先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除
先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除は、「先物取引に係る雑所得等の金額」が損失の金額を翌年以後3年間にわたって繰り越して、翌年以降「先物取引に係る雑所得等の金額」が利益となった場合に繰り越した損失と相殺できる制度です。

確定申告の添付書類
「先物取引に係る雑所得等の金額」について確定申告をする際に、確定申告書に「先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書」を添付する必要があります。

 

【参考】国税庁:外国為替証拠金取引(FX)の課税関係

関連コラム:配当に関する税金について