法人税の中間納付

中間納付の制度の趣旨
なぜ、法人税の中間納付を実施する必要があるのかというと、中間納付をすることで、法人税の確定申告の際に1年分の多額の法人税を支払うという会社の資金繰りの負担を軽減するのを目的としています。また、国庫の財政収入を均等にして財源を確保する目的もあります。

中間納付の対象法人
前年度の法人税額(年税額)が20万円を超える場合に中間納付が必要です。

中間納付の方法は、予定納税と中間申告の2つがあります。
予定納税は、予定申告によって納付税額を割り出す方法です。
中間申告は、事業年度開始日から6か月末までの中間日までを一事業年度とみなして仮決算に基づいた納付税額を計算する方法です。

また、中間納付の時期になると、所轄税務署から金額が記載された予定申告書(中間申告書)が送られてきます。

中間納付の留意点
中間納付の納付期限を過ぎると延滞税が発生するのでご留意ください。
また、中間納付金額が、法人税の確定申告で決定した納税額より多い場合には法人税が還付金として戻ってきます。
経営が前年度より悪化している場合には、法人税は半期で仮決算をして、中間申告をすることで納付税額を抑える方法もあります。

 

【参考】国税庁:法人税の中間(予定)税額の算出方法について


関連コラム:消費税の中間納付

オープンイノベーション促進税制

オープンイノベーション促進税制は、令和2年4月1日から令和4年3月31日までの間に、国内の事業会社やCVC(コーポレート・ベンチャーキャピタル)を対象に、スタートアップ企業とのオープンイノベーションを目指す法人が、スタートアップ企業の新規発行株式を一定額以上取得する場合に株式の取得価額の25%が所得控除される制度です。
新しいテクノロジーやビジネスモデルを持つベンチャー企業と事業会社が提携してイノベーションを起こしやすくすることを目的とした制度です。

対象法人

制度の対象となるのは、青色申告書を提出する法人、特定事業活動を行うもの(事業会社)が対象です。純粋な投資会社は対象外です。

スタートアップ企業の要件

投資対象のスタートアップ企業は以下のすべての要件を満たす必要があります。

・株式会社であること
・会社の設立日から10年未満であること
・金融商品取引所に未上場であること
・既に事業を開始していること
・対象法人とのオープンイノベーションを行っている又は行う予定であること
・一つの法人グループが株式の過半数を有していないこと
・法人以外の者が3分の1超の株式を有していること

出資の要件

5年以上の株式の継続保有を見込んで、一定額以上の現金の払込みによりスタートアップ企業の新規発行株式を取得する投資が所得控除の対象となります。
・資本金の増加を伴う現金による出資であること
・1件あたり1億円以上の出資であること
(対象法人が中小企業の場合は1,000万円以上、スタートアップ企業が海外法人の場合は5億円以上)
・オープンイノベーションに向けた取組の一環で行われる出資であること
・取得株式の5年以上の保有を予定していること
・純出資等を目的とする出資ではないこと

所得控除の上限額

1回の払込みの額のうち100億円までがオープンイノベーション促進税制の対象となり、所得控除の上限額は投資1件あたり25億円となります。一事業年度あたりの出資額の合計は500億円まで、一事業年度あたりの所得控除の上限額は125億円までです。

特別勘定の経理
オープンイノベーション促進税制による所得控除を受けるためには、対象となる取得株式(特定株式)の25%以下の金額を、特別勘定として経理し、株式取得の日から5年間は特別勘定を維持する必要があります。
5年以内に対象法人が任意に特別勘定を取り崩した場合、その取り崩した金額を、取り崩した事業年度の税務申告において益金算入します。


【参考】経済産業省:オープンイノベーション促進税制

関連コラム:繰越欠損金及び欠損金の繰戻しによる還付

ゴルフに関する支出の法人税の取り扱い

ゴルフに関する支出についての法人税法上の取り扱いをご説明します。

ゴルフのプレー代
営業先とのゴルフのプレー代で、業務上必要なものは法人税法の交際費等に該当します。業務に必要でないプライベートのゴルフのプレー代を会社が負担した場合は、プレーをした役員や従業員に対する役員賞与または従業員給与に該当します。

ゴルフクラブの入会金
ゴルフクラブの入会金は、名義が法人会員か個人会員かで取り扱いが異なります。
・法人会員として入会する場合
ゴルフクラブの入会金を資産に計上します。
ただし、記名式の法人会員で、名義人である役員または従業員が会社の業務に関係なく利用するために購入したものと認められる場合には、入会金に相当する金額は、役員または従業員に対する給与となります。
・個人会員として入会する場合
入会金は個人会員である役員または従業員に対する給与となります。
ただし、無記名式の法人会員制度がないため個人会員として入会し、その入会金を会社が資産に計上した場合で、ゴルフクラブへの入会が会社の業務の遂行上必要であると認められる場合には、資産に計上の処理が認められます。

会社が資産に計上したゴルフクラブの入会金について減価償却は認められません。ゴルフクラブを脱退してもゴルフクラブの入会金が返還を受けることができない場合に、返還されない部分のゴルフクラブの入会金が脱退をした事業年度の損金に算入されます。

ゴルフクラブの会費等の費用
会社がゴルフクラブに支出する年会費、年決めのロッカー料、名義人を変更するために支出する名義書換料等は、ゴルフクラブの入会金が資産として計上されている場合には交際費等となり、ゴルフクラブの入会金が役員または従業員の給与とされている場合には名義人である役員または従業員に対する給与となります。

【参考】国税庁:ゴルフクラブの入会金と会費の取扱い

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試験研究費の総額に係る税額控除制度

試験研究費の総額に係る税額控除制度についてご説明します。

制度の概要
試験研究費の総額に係る税額控除制度は、その事業年度において損金の額に算入される試験研究費の額がある場合に、その試験研究費の額の一定割合の金額をその事業年度の法人税額から控除できるものです。青色申告法人が適用対象法人です。

試験研究費の額
対象となる試験研究費とは、製品の製造若しくは技術の改良、考案若しくは発明に係る試験研究のために要する一定の費用又は対価を得て提供する新たな役務の開発に係る試験研究として以下のもの全てが行われる場合です。
(1)大量の情報を収集する機能を有し、その全部又は主要な部分が自動化されている機器又は技術を用いて行われる情報の収集
(2)その収集により蓄積された情報について、一定の法則を発見するために、確率論及び統計学に係る情報解析専門家により専ら情報の解析を行う機能を有するソフトウェアを用いて行われる分析
(3)分析により発見された法則を利用した新サービスの設計
(4)発見された法則が予測と結果の一致度が高い等妥当であると認められるものであること及びその発見された法則を利用した新サービスがその目的に照らして適当であると認められるものであることの確認

税額控除限度額
税額控除額は、その事業年度の損金の額に算入される試験研究費の額に、以下の税額控除割合を乗じて計算した金額です。ただし、税額控除額がその事業年度の法人税額の25%相当額を超える場合は、原則としてその25%相当額が限度となります。

平成29年4月1日から平成31年3月31日までの間に開始する各事業年度においては、試験研究費の額が平均売上金額の10%を超える場合には、税額控除額の上限(法人税相当額の25%相当額)については、25%に試験研究費割合から10%を控除した割合を2倍した割合(10%が上限)を加算した割合(上限35%)により計算した金額を限度とすることができます。この上乗せ措置の適用を受ける事業年度においては、平均売上金額の10%を超える試験研究費に係る税額控除制度の適用を受けることはできません。

平成29年4月1日から平成31年3月31日までの間に開始する各事業年度においては、税額控除額は、試験研究費の額に増減試験研究費割合に応じた次の税額控除割合(14%が上限となります。)を乗じて計算します。
・増減試験研究費割合が5%を超える場合
9%+(増減試験研究費割合-5%)×0.3 (14%を超える場合は14%)
・増減試験研究費割合が5%以下の場合
9%-(5%-増減試験研究費割合)×0.1 (6%未満の場合は6%)

増減試験研究費割合とは、試験研究費増減差額の比較試験研究費の額に対する割合をいいます。
試験研究費増減差額とは、試験研究費の額から比較試験研究費の額を減算した金額をいいます。
比較試験研究費の額とは、適用年度開始の日前3年以内に開始した各事業年度において損金の額に算入される試験研究費の額を平均した額をいいます。

なお、試験研究費の額が増加した場合等の税額控除制度により、別枠で税額控除をすることができますが、その場合の税額控除額は以下のようになります。ただし、税額控除額がその事業年度の法人税相当額の10%相当額を超える場合は、10%相当額が限度となります。
平成29年4月1日から平成31年3月31日までの間に開始する各事業年度においてその損金の額に算入される試験研究費の額が、その事業年度の平均売上金額の10%相当額を超える場合

税額控除額=(試験研究費の額-平均売上金額×10%)×超過税額控除割合
超過税額控除割合=(試験研究費割合-10%)×0.2

平均売上金額とは、適用年度及び適用年度開始の日前3年以内に開始した各事業年度の売上金額の平均額をいいます。
税額控除限度額の上限を25%から35%に上乗せする措置の適用を受ける場合には、この制度の適用を受けることはできません。

適用要件
中小企業者等以外の法人が平成30年4月1日から平成33年3月31日までの間に開始する各事業年度において一定の要件を満たさない場合には適用できません。
この制度の適用を受けるためには、控除の対象となる試験研究費の額及び控除を受ける金額を確定申告書に記載するとともに、計算に関する明細書を添付して申告する必要があります。

なお、試験研究費の税額控除はよく税制改正の対象になるため、年度ごとに詳細な条件を確認する必要があります。

【参考】国税庁:試験研究費の総額に係る税額控除制度(総額型)

関連コラム:中小企業技術基盤強化税制について

中小企業技術基盤強化税制について

中小企業技術基盤強化税制についてご説明します。

制度の概要
中小企業技術基盤強化税制は、中小企業者がその事業年度において損金の額に算入する試験研究費の額がある場合に、その試験研究費の額の一定割合の金額をその事業年度の法人税額から控除することを認める制度です。試験研究費の総額に係る税額控除制度との重複適用はできません。青色申告書を提出する中小企業者又は農業協同組合等が適用対象法人です。

試験研究費の額
対象となる試験研究費とは、製品の製造又は技術の改良、考案若しくは発明に係る試験研究のために要する一定の費用又は対価を得て提供する新たな役務の開発に係る試験研究として以下のもの全てが行われる場合です。
(1)大量の情報を収集する機能を有し、その全部又は主要な部分が自動化されている機器又は技術を用いて行われる情報の収集
(2)収集により蓄積された情報について、一定の法則を発見するために、確率論及び統計学に係る情報解析専門家により専ら情報の解析を行う機能を有するソフトウェアを用いて行われる分析
(3)分析により発見された法則を利用した新サービスの設計
(4)発見された法則が予測と結果の一致度が高い等妥当であると認められるものであること及び発見された法則を利用した新サービスがその目的に照らして適当であると認められるものであることの確認

中小企業者等税額控除限度額
税額控除額は、平成29年4月1日から平成31年3月31日までの間に開始する各事業年度の損金の額に算入される試験研究費の額に、以下の算式により計算した金額です。ただし、税額控除額がその事業年度の法人税相当額の25%相当額を超える場合は、原則としてその25%相当額が限度となります。
1.増減試験研究費割合が5%超の場合
税額控除額=試験研究費の額×(12%+(増減試験研究費割合-5%)×0.3)
2.増減試験研究費割合が5%以下の場合
税額控除額=試験研究費の額×12%
3.税額控除額の上限 法人税相当額の35%相当額
4.試験研究費の額が平均売上金額の10%を超える場合には、税額控除額の上限(法人税相当額の25%相当額)については、25%に試験研究費割合から10%を控除した割合を2倍した割合(10%が上限)を加算した割合(上限35%)により計算した金額を限度とすることができます。この上乗せ措置の適用を受ける事業年度においては、平均売上金額の10%を超える試験研究費に係る税額控除制度の適用を受けることはできません。

なお、試験研究費の額が増加した場合等の税額控除制度により、別枠で税額控除をすることができます。この場合の税額控除額は以下のとおりです。ただし、これらの税額控除額が平成29年4月1日から平成31年3月31日までの間に開始する各事業年度の法人税相当額の10%相当額を超える場合は、その10%相当額が限度となります。

その損金の額に算入される試験研究費の額が、その事業年度の平均売上金額の10%相当を超える場合
税額控除額=(試験研究費の額-平均売上金額×10%)×超過税額控除割合
超過税額控除割合=(試験研究費割合-10%)×0.2
平均売上金額とは、適用年度及び適用年度開始の日前3年以内に開始した各事業年度の売上金額の平均額をいいます。

税額控除額の25%から35%の上乗せ措置の適用を受ける場合には、この制度の適用を受けることはできません。

適用要件
控除の対象となる試験研究費の額及び控除を受ける金額を確定申告書に記載するとともに、計算に関する明細書を添付して申告してください。

【参考】国税庁:中小企業技術基盤強化税制

関連コラム:試験研究費の総額に係る税額控除制度