ゴルフに関する支出の法人税の取り扱い

ゴルフに関する支出についての法人税法上の取り扱いをご説明します。

ゴルフのプレー代
営業先とのゴルフのプレー代で、業務上必要なものは法人税法の交際費等に該当します。業務に必要でないプライベートのゴルフのプレー代を会社が負担した場合は、プレーをした役員や従業員に対する役員賞与または従業員給与に該当します。

ゴルフクラブの入会金
ゴルフクラブの入会金は、名義が法人会員か個人会員かで取り扱いが異なります。
・法人会員として入会する場合
ゴルフクラブの入会金を資産に計上します。
ただし、記名式の法人会員で、名義人である役員または従業員が会社の業務に関係なく利用するために購入したものと認められる場合には、入会金に相当する金額は、役員または従業員に対する給与となります。
・個人会員として入会する場合
入会金は個人会員である役員または従業員に対する給与となります。
ただし、無記名式の法人会員制度がないため個人会員として入会し、その入会金を会社が資産に計上した場合で、ゴルフクラブへの入会が会社の業務の遂行上必要であると認められる場合には、資産に計上の処理が認められます。

会社が資産に計上したゴルフクラブの入会金について減価償却は認められません。ゴルフクラブを脱退してもゴルフクラブの入会金が返還を受けることができない場合に、返還されない部分のゴルフクラブの入会金が脱退をした事業年度の損金に算入されます。

ゴルフクラブの会費等の費用
会社がゴルフクラブに支出する年会費、年決めのロッカー料、名義人を変更するために支出する名義書換料等は、ゴルフクラブの入会金が資産として計上されている場合には交際費等となり、ゴルフクラブの入会金が役員または従業員の給与とされている場合には名義人である役員または従業員に対する給与となります。

【参考】国税庁:ゴルフクラブの入会金と会費の取扱い

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試験研究費の総額に係る税額控除制度

試験研究費の総額に係る税額控除制度についてご説明します。

制度の概要
試験研究費の総額に係る税額控除制度は、その事業年度において損金の額に算入される試験研究費の額がある場合に、その試験研究費の額の一定割合の金額をその事業年度の法人税額から控除できるものです。青色申告法人が適用対象法人です。

試験研究費の額
対象となる試験研究費とは、製品の製造若しくは技術の改良、考案若しくは発明に係る試験研究のために要する一定の費用又は対価を得て提供する新たな役務の開発に係る試験研究として以下のもの全てが行われる場合です。
(1)大量の情報を収集する機能を有し、その全部又は主要な部分が自動化されている機器又は技術を用いて行われる情報の収集
(2)その収集により蓄積された情報について、一定の法則を発見するために、確率論及び統計学に係る情報解析専門家により専ら情報の解析を行う機能を有するソフトウェアを用いて行われる分析
(3)分析により発見された法則を利用した新サービスの設計
(4)発見された法則が予測と結果の一致度が高い等妥当であると認められるものであること及びその発見された法則を利用した新サービスがその目的に照らして適当であると認められるものであることの確認

税額控除限度額
税額控除額は、その事業年度の損金の額に算入される試験研究費の額に、以下の税額控除割合を乗じて計算した金額です。ただし、税額控除額がその事業年度の法人税額の25%相当額を超える場合は、原則としてその25%相当額が限度となります。

平成29年4月1日から平成31年3月31日までの間に開始する各事業年度においては、試験研究費の額が平均売上金額の10%を超える場合には、税額控除額の上限(法人税相当額の25%相当額)については、25%に試験研究費割合から10%を控除した割合を2倍した割合(10%が上限)を加算した割合(上限35%)により計算した金額を限度とすることができます。この上乗せ措置の適用を受ける事業年度においては、平均売上金額の10%を超える試験研究費に係る税額控除制度の適用を受けることはできません。

平成29年4月1日から平成31年3月31日までの間に開始する各事業年度においては、税額控除額は、試験研究費の額に増減試験研究費割合に応じた次の税額控除割合(14%が上限となります。)を乗じて計算します。
・増減試験研究費割合が5%を超える場合
9%+(増減試験研究費割合-5%)×0.3 (14%を超える場合は14%)
・増減試験研究費割合が5%以下の場合
9%-(5%-増減試験研究費割合)×0.1 (6%未満の場合は6%)

増減試験研究費割合とは、試験研究費増減差額の比較試験研究費の額に対する割合をいいます。
試験研究費増減差額とは、試験研究費の額から比較試験研究費の額を減算した金額をいいます。
比較試験研究費の額とは、適用年度開始の日前3年以内に開始した各事業年度において損金の額に算入される試験研究費の額を平均した額をいいます。

なお、試験研究費の額が増加した場合等の税額控除制度により、別枠で税額控除をすることができますが、その場合の税額控除額は以下のようになります。ただし、税額控除額がその事業年度の法人税相当額の10%相当額を超える場合は、10%相当額が限度となります。
平成29年4月1日から平成31年3月31日までの間に開始する各事業年度においてその損金の額に算入される試験研究費の額が、その事業年度の平均売上金額の10%相当額を超える場合

税額控除額=(試験研究費の額-平均売上金額×10%)×超過税額控除割合
超過税額控除割合=(試験研究費割合-10%)×0.2

平均売上金額とは、適用年度及び適用年度開始の日前3年以内に開始した各事業年度の売上金額の平均額をいいます。
税額控除限度額の上限を25%から35%に上乗せする措置の適用を受ける場合には、この制度の適用を受けることはできません。

適用要件
中小企業者等以外の法人が平成30年4月1日から平成33年3月31日までの間に開始する各事業年度において一定の要件を満たさない場合には適用できません。
この制度の適用を受けるためには、控除の対象となる試験研究費の額及び控除を受ける金額を確定申告書に記載するとともに、計算に関する明細書を添付して申告する必要があります。

なお、試験研究費の税額控除はよく税制改正の対象になるため、年度ごとに詳細な条件を確認する必要があります。

【参考】国税庁:試験研究費の総額に係る税額控除制度(総額型)

関連コラム:中小企業技術基盤強化税制について

中小企業技術基盤強化税制について

中小企業技術基盤強化税制についてご説明します。

制度の概要
中小企業技術基盤強化税制は、中小企業者がその事業年度において損金の額に算入する試験研究費の額がある場合に、その試験研究費の額の一定割合の金額をその事業年度の法人税額から控除することを認める制度です。試験研究費の総額に係る税額控除制度との重複適用はできません。青色申告書を提出する中小企業者又は農業協同組合等が適用対象法人です。

試験研究費の額
対象となる試験研究費とは、製品の製造又は技術の改良、考案若しくは発明に係る試験研究のために要する一定の費用又は対価を得て提供する新たな役務の開発に係る試験研究として以下のもの全てが行われる場合です。
(1)大量の情報を収集する機能を有し、その全部又は主要な部分が自動化されている機器又は技術を用いて行われる情報の収集
(2)収集により蓄積された情報について、一定の法則を発見するために、確率論及び統計学に係る情報解析専門家により専ら情報の解析を行う機能を有するソフトウェアを用いて行われる分析
(3)分析により発見された法則を利用した新サービスの設計
(4)発見された法則が予測と結果の一致度が高い等妥当であると認められるものであること及び発見された法則を利用した新サービスがその目的に照らして適当であると認められるものであることの確認

中小企業者等税額控除限度額
税額控除額は、平成29年4月1日から平成31年3月31日までの間に開始する各事業年度の損金の額に算入される試験研究費の額に、以下の算式により計算した金額です。ただし、税額控除額がその事業年度の法人税相当額の25%相当額を超える場合は、原則としてその25%相当額が限度となります。
1.増減試験研究費割合が5%超の場合
税額控除額=試験研究費の額×(12%+(増減試験研究費割合-5%)×0.3)
2.増減試験研究費割合が5%以下の場合
税額控除額=試験研究費の額×12%
3.税額控除額の上限 法人税相当額の35%相当額
4.試験研究費の額が平均売上金額の10%を超える場合には、税額控除額の上限(法人税相当額の25%相当額)については、25%に試験研究費割合から10%を控除した割合を2倍した割合(10%が上限)を加算した割合(上限35%)により計算した金額を限度とすることができます。この上乗せ措置の適用を受ける事業年度においては、平均売上金額の10%を超える試験研究費に係る税額控除制度の適用を受けることはできません。

なお、試験研究費の額が増加した場合等の税額控除制度により、別枠で税額控除をすることができます。この場合の税額控除額は以下のとおりです。ただし、これらの税額控除額が平成29年4月1日から平成31年3月31日までの間に開始する各事業年度の法人税相当額の10%相当額を超える場合は、その10%相当額が限度となります。

その損金の額に算入される試験研究費の額が、その事業年度の平均売上金額の10%相当を超える場合
税額控除額=(試験研究費の額-平均売上金額×10%)×超過税額控除割合
超過税額控除割合=(試験研究費割合-10%)×0.2
平均売上金額とは、適用年度及び適用年度開始の日前3年以内に開始した各事業年度の売上金額の平均額をいいます。

税額控除額の25%から35%の上乗せ措置の適用を受ける場合には、この制度の適用を受けることはできません。

適用要件
控除の対象となる試験研究費の額及び控除を受ける金額を確定申告書に記載するとともに、計算に関する明細書を添付して申告してください。

【参考】国税庁:中小企業技術基盤強化税制

関連コラム:試験研究費の総額に係る税額控除制度

繰越欠損金及び欠損金の繰戻しによる還付

繰越欠損金及び欠損金の繰戻しによる還付の制度概要についてご説明します。

繰越欠損金について
繰越欠損金は、確定申告書を提出している会社において、過去の事業年度で生じた欠損金を、所得の生じた事業年度の所得金額の計算上、損金の額に算入できるものです。青色申告書を欠損金が生じた年度において提出している必要があり、その後も確定申告書(青色申告書または白色申告書)を連続して提出している必要があります。

大法人における繰越欠損金の控除限度額は、繰越欠損金を控除する前の所得の金額に以下の割合を乗じた金額となっています。
(1)平成29年4月1日から平成30年3月31日開始事業年度…55%
(2)平成30年4月1日から開始事業年度…50%

中小法人については、改正前と同様に繰越欠損金の控除制限はありません。所得金額の100%の控除が可能です。

繰越欠損金の損金算入の順序ですが、繰越欠損金が過去の事業年度のうち2以上の事業年度において生じている場合には、最も古い事業年度において生じた繰越欠損金から順次損金に算入をします。

欠損金の繰戻しによる還付について
欠損事業年度(青色申告書の確定申告書を提出する事業年度に欠損金額が生じた場合の年度を指す)に、その欠損金額をその事業年度開始の日前1年以内に開始した事業年度に繰り戻して法人税額の還付を請求できるというものです。

解散等の事実が生じた場合の欠損金額及び中小企業者等の各事業年度で生じた欠損金額を除いて、2020年3月31日まで適用が停止されています。
そのため、本制度の利用は資本金の額が1億円以下である法人に限られており、大法人では利用ができません。

還付金額については、以下の算式で計算します。
還付金額=還付所得事業年度の法人税額×欠損事業年度の欠損金額÷還付所得事業年度の所得金額

法人が還付金額の計算の基礎として還付請求書に記載した金額及び分母の金額が還付の限度額になります。
また、地方法人税を納付していた場合に、上記より算出された還付金額に4.4%を乗じて算出した地方法人税も還付されます。
都道府県民税、市町村民税、事業税等の地方税について適用はありません。

【参考】国税庁:青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除

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中小企業倒産防止共済制度を利用した節税

中小企業倒産防止共済制度の概要と当該制度を利用した節税をご説明します。中小企業倒産防止共済制度は損金算入でき、役員の退職金の支給時に取り崩す等で、中小企業で多額に利益が出ている場合の節税商品、簿外の貯蓄効果のある商品として一般的に使われています。

中小企業倒産防止共済制度は独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)が運営している共済制度で、経営セーフティ共済とも呼ばれます。

中小企業倒産防止共済制度の概要について
取引先企業が倒産した場合に、中小企業の連鎖倒産や経営難になるのを防ぐため、無担保・無保証人で掛金総額の10倍の範囲内(最高8,000万円)で回収困難な売掛債権等の額以内の共済金の貸付けが受けられる制度です。

加入要件
加入要件は、業種に応じて「資本金の額または出資の総額」及び「常時使用する従業員数」が異なります。
以下にいくつか例示します。
製造業、建設業、運輸業その他の業種:資本金の額は3億円以下、従業員数は300人以下
卸売業:資本金の額は1億円以下、従業員数は100人以下
サービス業:資本金の額は5,000万円以下、従業員数は100人以下
小売業:資本金の額は5,000万円以下、従業員数は50人以下

中小企業倒産防止共済制度のメリットについて
月々の掛金は5,000円~20万円まで自由に選べ、加入後も増額・減額できます。確定申告の際、掛金を法人では損金、個人事業主では必要経費に算入でき、節税効果を得ることができます。
年間240万円まで全額損金計上でき、合計積み立て限度額800万円までの枠を節税として利用し、それでも節税しきれない場合に法人保険を利用する節税がおすすめです。

中小企業倒産防止共済を解約した場合に、解約手当金を受け取れます。
自己都合では、掛金を12か月以上納めていれば掛金総額の8割以上が解約手当金として受け取れます。また、40か月以上納めていれば、掛け金全額を解約手当金として受け取れます。12か月未満は掛け捨てとなるため、40か月以上の納付を行うべきです。
解約手当金は、受領時に益金算入されてしまいます。そのため、節税の観点では多額の費用が発生する場合に、解約手当金を受領し、収益と費用を相殺することに使用すると良いです。
多額の修繕費や役員退職金を支給する際、期限切れの繰越欠損金を利用する場合等が該当します。

【参考】独立行政法人中小企業基盤整備機構:経営セーフティ共済

関連コラム:小規模企業共済制度の概要とメリット