収益認識に関する会計基準では、顧客との契約を識別し、履行義務を識別した後、取引価格を算定します。取引価格とは、財又はサービスを顧客へ移転することと交換に、企業が権利を得ると見込む対価の額をいいます。単に契約書や請求書に記載された金額をそのまま使用するとは限らない点が重要です。

例えば、販売数量に応じたリベート、値引き、返金、業績達成に応じたボーナスなど、対価の金額が変動する場合には「変動対価」として見積りが必要です。変動対価は、最も可能性の高い単一の金額である「最頻値」または、複数の金額を発生確率で加重平均する「期待値」のうち、より適切に対価を予測できる方法を用います。ただし、後から収益の著しい減額が生じない可能性が高い部分に限って取引価格に含めます。

また、商品の引渡しから代金の回収までが長期間に及ぶなど、契約に重要な金融要素が含まれる場合には、金利相当分を調整する必要があります。一方、財又はサービスの移転から支払までの期間が1年以内と見込まれる場合には、この調整を行わないことができます。

そのほか、株式など現金以外で対価を受け取る場合や、企業から顧客にリベート等を支払う場合についても調整が必要となることがあります。

取引価格の算定を誤ると、売上高そのものが過大または過少に計上される可能性があります。特に値引き、返金、販売奨励金などが多い取引では、契約書だけでなく過去の実績や取引慣行も踏まえて、合理的に取引価格を算定することが重要です。

【参考】ASBJ:企業会計基準第29号 収益認識に関する会計基準

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