収益認識に関する会計基準では、取引価格を算定した後、その金額を契約に含まれる各履行義務へ配分します。複数の商品やサービスをセットで販売している場合、契約書に記載された金額をそのまま各売上に計上するとは限らない点が重要です。
取引価格は、原則として各履行義務の「独立販売価格」の比率に基づいて配分します。独立販売価格とは、商品やサービスを単独で顧客に販売する場合の価格です。例えば、単独販売価格80万円の商品と40万円の保守サービスをセットで100万円で販売した場合、独立販売価格の合計120万円に対する比率により、商品には約66.7万円、保守サービスには約33.3万円を配分します。その後、それぞれの履行義務を充足した時点で収益を認識します。
独立販売価格を直接確認できない場合には、合理的な見積りが必要です。会計基準の適用指針では、市場の状況などを踏まえる方法、予想されるコストに適切な利益を加える方法、一定の場合に用いる残余アプローチなどが示されています。契約上の定価が、必ずしも独立販売価格になるとは限りません。
また、セット販売による値引きは原則としてすべての履行義務に比例配分しますが、一定の要件を満たせば特定の履行義務だけに配分することがあります。変動対価についても、その支払条件が特定の商品やサービスに明確に関連する場合には、特定の履行義務へ配分できる場合があります。
取引価格の配分は、収益総額を変えなくても、商品やサービスごとの売上金額や収益認識時期に影響します。複合契約では、契約価格だけを見るのではなく、各履行義務の独立販売価格を適切に把握することが重要です。
