農業を営む個人が得る所得は、所得税法上「農業所得」として区分されます。農業所得は、給与所得や事業所得とは異なる特有の取扱いがあるため、正確な理解が重要です。

1.農業所得の概要
農業所得とは、農作物の生産・販売などから生じる所得をいいます。所得の計算は、原則として他の事業所得と同様に次の式で求めます。
農業所得 = 総収入金額 − 必要経費
総収入には、農産物の販売収入のほか、補助金や交付金も含まれる点に注意が必要です。

2.事業所得との違い
農業所得は事業所得と似ていますが、税務上は区分されています。もっとも、実務上は青色申告や帳簿記帳など、基本的な考え方は事業所得と共通しています。
農業特有の論点として、家事消費・事業消費分の取扱い、棚卸資産の評価、天候による収入変動などが挙げられます。

3.実務上の重要ポイント
(1)補助金・交付金の取扱い
農業では各種補助金が支給されることがあります。これらは原則として収入として計上する必要があります。
(2)自家消費の評価
収穫した農産物を自家消費した場合でも、時価で収入計上が必要です。
(3)減価償却
農機具やビニールハウスなどの設備については、減価償却資産として処理します。

(4)収入の変動
農業は天候等の影響を受けやすく、所得が不安定になりやすい特徴があります。

4.青色申告の活用
青色申告が可能です。
青色申告特別控除、損失の繰越控除、専従者給与のメリットがあります。
特に、所得が変動しやすい農業では損失繰越が有効です。

65万円の青色申告特別控除を受ける場合
65万円の青色申告特別控除を受ける場合は、正規の簿記の原則に従って、複式簿記で貸借対照表及び損益計算書を作成できる帳簿の記載が必要となります。

10万円の青色申告特別控除を受ける場合
10万円の青色申告特別控除の場合は、簡易記帳での記入が認められます。

参考:大多喜町 農業所得の申告について

参考:入善町 農業所得の申告についてのおしらせ

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