直接原価計算とは、製造原価を変動費と固定費に区分し、製品原価には原則として変動費のみを集計する原価計算方法です。ここでいう変動費とは、生産量や販売量の増減に応じて増減する材料費などをいい、固定費とは、工場の減価償却費や一定の人件費など、一定の操業度の範囲では生産量にかかわらず発生する費用をいいます。
直接原価計算の大きな特徴は、限界利益を把握できることです。売上高から変動費を差し引いた金額が限界利益であり、この限界利益から固定費を差し引くことで利益を計算します。
例えば、製品1個を1万円で販売し、1個当たりの変動費が6,000円であれば、限界利益は4,000円です。固定費が年間4,000万円であれば、10,000個を販売することで限界利益と固定費が一致し、損益がゼロとなります。この販売数量が損益分岐点です。
全部原価計算では固定製造間接費も製品原価に含まれるため、生産量が増えると固定費の一部が棚卸資産として翌期へ繰り越されることがあります。一方、直接原価計算では固定費を期間費用として捉えるため、生産量ではなく販売量と利益の関係を把握しやすくなります。
そのため、製品別の採算分析、販売価格の検討、追加受注の判断、損益分岐点分析など、経営意思決定に適した手法といえます。
ただし、財務諸表作成上は、全部の製造原価を製品原価とすることが原則です。直接原価計算を採用している場合でも、会計年度末には固定製造費を仕掛品・製品・売上品へ適切に配賦し、棚卸資産や売上原価を調整する必要があります。
