繰延税金資産は、将来減算一時差異や税務上の繰越欠損金によって、将来の税負担を軽減できると見込まれる範囲で計上します。その回収可能性を判断する方法の一つが「タックス・プランニング」です。

ここでいうタックス・プランニングは、一般的な節税対策とは意味が異なります。税効果会計上は、将来の一定期間に課税所得を発生させ、一時差異や繰越欠損金を税務上利用するために企業が実行する具体的な計画を指します。

代表例は、含み益のある固定資産や有価証券を売却する計画です。例えば、税務上1億円の繰越欠損金がある企業が、含み益8,000万円の有価証券を将来売却する計画を有している場合、その売却益によって課税所得が生じ、繰越欠損金の一部を利用できる可能性があります。このような場合、タックス・プランニングを繰延税金資産の回収可能性判断に反映できることがあります。

ただし、「必要になれば資産を売却する」という程度の希望的な計画では十分ではありません。対象資産を実際に売却できること、売却について合理的な意思決定や実施計画があること、想定する時期や売却益に合理性があることなど、実行可能性を客観的に説明できることが重要です。

また、将来減算一時差異の解消時期や繰越欠損金の期限と、タックス・プランニングによる課税所得の発生時期が対応しているかも確認する必要があります。

決算・監査実務では、対象資産、含み益、実行時期、意思決定の状況などを資料化し、毎期その実現可能性を見直すことが重要です。

【参考】ASBJ:企業会計基準適用指針第26号 繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針

関連コラム:解消見込年度が長期にわたる将来減算一時差異の取扱い