商品の販売やサービス提供に他社が関与する取引では、顧客から受け取る金額をそのまま売上高とする総額表示と、自社の手数料や利益部分のみを売上高とする純額表示のいずれとするかが重要な論点となります。

収益認識に関する会計基準では、企業が取引の本人である場合には総額で、代理人である場合には純額で収益を認識します。本人とは、財又はサービスが顧客に提供される前にそれらを支配し、自ら顧客に提供する企業をいいます。一方、代理人は、他社が提供する財又はサービスについて、その提供を手配することを履行義務とする企業です。代理人の場合、顧客から受け取る金額全体ではなく、手数料など企業が得る純額を収益として計上します。

本人か代理人かを判断する際には、①財又はサービスの提供について主たる責任を負っているか、②顧客への提供前や返品時などに在庫リスクを負っているか、③販売価格を設定する裁量を有しているか、といった指標を検討します。ただし、これらの項目を単純に多数決で判定するものではありません。最終的には、顧客に提供する前に財又はサービスを支配しているかを、契約内容や取引実態から総合的に判断します。

例えば、ECサイトや旅行予約、広告代理、商社取引などでは、形式上は企業が顧客から代金全額を受領していても、実態が商品の販売を仲介しているだけであれば純額表示となる可能性があります。

総額表示と純額表示では利益額が変わらない場合でも、売上高や売上高利益率などの財務指標は大きく変わります。そのため、契約書だけでなく、価格決定権、在庫リスク、顧客に対する責任などを整理し、取引の実態に即して判断することが重要です。

【参考】ASBJ:企業会計基準適用指針第30号 収益認識に関する会計基準の適用指針

関連コラム:収益認識における履行義務の充足