建設工事や設備工事などの工事契約では、工事が完成した時点で一括して売上を計上するのか、それとも工事の進捗に応じて売上を計上するのかが重要な論点となります。

収益認識に関する会計基準では、工事契約について、まず履行義務が「一定の期間にわたり充足される」ものかを判定します。具体的には、①企業が履行するにつれて顧客が便益を享受する場合、②工事の進行によって資産が生じ又は価値が増加し、その過程で顧客が当該資産を支配する場合、③完成する資産を他の顧客へ転用できず、かつ完成済み部分について対価を受け取る強制力のある権利を有する場合、のいずれかに該当すれば、一定期間にわたり収益を認識します。

この場合、工事の進捗度を合理的に見積り、その進捗度に応じて売上高と原価を認識します。進捗度の測定には、発生原価を予想総原価で除する方法などのインプット法や、完成した作業量などを利用するアウトプット法があります。また、進捗度は各決算日に見直す必要があります。

一方、一定期間にわたり充足される要件を満たさない工事は、顧客に支配が移転した一時点で収益を認識します。また、進捗度を合理的に見積れないものの、発生原価の回収が見込まれる場合には、一定期間は原価回収基準による処理が必要となります。

なお、工期がごく短い工事契約については、実務上の簡便的な取扱いとして、履行義務を完全に充足した時点で収益を認識することも認められています。

工事契約では、契約書の名称だけで判断せず、資産の支配、転用可能性、代金請求権、進捗度の測定方法を整理することが重要です。

【参考】ASBJ:企業会計基準適用指針第30号 収益認識に関する会計基準の適用指針

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