企業の福利厚生の一つである社宅制度は、従業員の住居費負担を軽減するとともに、税務上も有利に活用できる制度です。特に役員・従業員ともに給与課税を抑えつつ実質的な手取りを増やす効果があるため、中小企業においては積極的に検討すべき施策といえます。
1.社宅制度の概要
社宅制度とは、会社が賃貸住宅を借り上げ、従業員や役員に貸与する仕組みです。
通常、会社が家賃を負担すると給与課税の対象となりますが、一定額の家賃を本人から徴収することで、課税を軽減することが可能です。
2.税務上の取扱い
税務上は、賃貸料相当額と呼ばれる基準に基づき課税関係が判定されます。
(1)従業員の場合
一定の算式で計算された賃貸料相当額以上の家賃を徴収していれば、給与課税されないとされます。
(2)役員の場合
役員社宅については、より厳格な基準が設けられており、床面積、建物の評価額等に基づいて賃貸料相当額を計算します。
3.実務上のメリット
(1)所得税・住民税の軽減
給与として支給する場合と比較して、課税対象が減少するため、手取りが増加します。
(2)社会保険料の削減
給与額が減少することで、社会保険料の負担も軽減される可能性があります。
(3)法人側の損金算入
会社が負担する家賃は、全額損金算入が可能です。
4.実務上の注意点
(1)家賃設定の適正性
賃貸料相当額を下回る場合、差額が給与課税されるため、適正な設定が必要です。
(2)契約形態の整備
法人契約であること、社宅規程の整備といった形式面も重要になります。
(3)高額物件のリスク
特に役員社宅では、豪華社宅と判断されると全額課税となるリスクがあります。
よくある誤りとしては、家賃を無料にしている、個人契約のままにしている、規程を整備していないといったものが挙げられます。
適切に設計された社宅制度は、企業と従業員双方にメリットをもたらします。税務要件を踏まえたうえで、制度設計を行うことが重要といえるでしょう。
