不動産所得の概要
所得税計算上における不動産所得は、以下の資産の貸付から生じる不動産収入をいいます。
・土地や建物などの不動産の貸付け
・地上権など不動産の上に存する権利の設定及び貸付け
・船舶や航空機の貸付け

不動産所得の金額は、以下のように計算します。
総収入金額-必要経費=不動産所得の金額
総収入金額は、貸付けによる賃貸料収入の以外に、名義書換料、承諾料、更新料又は頭金などの名目で受領するもの、敷金や保証金で返還を要しないもの、共益費などの名目で受け取るものが含まれます。

必要経費は、不動産収入を得るために直接必要な費用のうち家事上の経費と明確に区分したものであり、固定資産税、損害保険料、減価償却費、修繕費が該当します。

事業的規模に該当する不動産所得の計算
不動産所得は、その不動産貸付けが事業として行われているかによって、 所得金額の計算上の取扱いが異なる場合があります。
不動産の貸付けが事業かどうかは、原則として社会通念上事業と称するに至る程度の規模で行われているかにより判断しますが、建物の貸付けについては、アパート等については、室数がおおむね10室以上、家屋の貸付けについては、おおむね5棟以上であることが判断基準です。

事業的規模に該当する場合の不動産所得の計算上のメリット
・65万円の青色申告特別控除が不動産所得の金額から控除できますが、事業的規模にあたらない場合は、不動産所得の金額から控除できるのは10万円です。
・配偶者や親族が事業に従事している場合は、事業的規模であれば青色申告の専従者給与、白色申告の場合は専従者控除が適用されます。
・賃貸用の不動産の取り壊しなどで生じる資産損失を必要経費として計上でき、その結果生じた損失は他の所得との損益通算でき、純損失の場合には青色申告で3年間の繰越控除が適用されます。事業的規模でない不動産所得の場合には、必要経費に算入できる額は、取り壊しなどを行った年の不動産所得の総収入金額が限度になりますので、不動産所得金額を0円で申告するだけで損益通算はできません。
・回収不能の賃貸料が発生した場合、事業的規模では貸倒損失をその年度の必要経費に計上できます。

その他留意点
会社員は基本的に給与所得のみなので、年末調整で申告が完了します。しかし、不動産所得がある場合は、年末調整で取り扱ってもらえないため、所得や経費を計算して確定申告する必要があります。

【参考】国税庁:不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)

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