所得税法の損益通算についてご説明します。

概要
所得税法上、所得の種類は10種類に分類されています。
各所得金額の計算上生じた損失のうち一定のものについて、順序にしたがって、総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額等を計算する際に他の各所得金額の金額から控除できる制度です。

対象となる所得の種類
損益通算の対象となる所得は次の所得です。
(1)不動産所得(生活に通常必要でない資産の貸付け、負債の利子等を除く)
(2)事業所得
(3)譲渡所得(競走馬に係るもの以外で、生活に通常必要でない資産の譲渡を除く)
(4)山林所得

控除する順序
損益通算の順序は以下のようになっています。
①不動産所得、事業所得の金額の計算上生じた損失は、経常グループ内の所得から控除します。
経常グループ内の所得は、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、雑所得です。
②譲渡所得の金額の計算上生じた損失は、一時所得の金額から控除します。
③①及び②の損益通算でも控除しきれない損失がある場合には、①と②で所得が生じている側から損失が生じている側の金額を控除します。
④③においても控除しきれない損失があるときには、山林所得の金額から控除し、それでも控除しきれない損失があるときには退職所得の金額から控除します。
⑤山林所得の金額の計算上生じた損失は、①の経常グループから控除し、控除しきれない損失があるときには②の臨時グループから控除し、それでも控除しきれない損失があれば、退職所得の金額から控除します。

損益通算を行っても損失が生じる場合には、翌年以降3年間の純損失の繰越控除か純損失の繰戻還付を選択適用することとなります。

【参考】国税庁:損益通算

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