同族会社の定義
同族会社とは、会社の株主等の3人以下並びにこれらと特殊な関係にある個人や法人が発行済株式総数の50%超、または議決権の50%超、またはその会社の社員の総数の半数超を保有している会社をいいます。
なお、特殊な関係にある個人や法人とは、以下のとおりです。
1.株主等の親族(配偶者、六親等以内の血族、三親等以内の姻族)
2.株主等と事実上の婚姻関係にある者
3.株主等の使用人
4.株主等から受ける金銭やその他の資産により生計を立てている者
5.株主等並びに株主等と特殊関係のある個人及び法人で他の会社を発行済株式又は出資の50%超を所有している場合の当該他の会社。

同族会社に特有な税制
同族会社は少数の特定株主により意思決定でき、会社の行為や計算を操作して、法人税や所得税の負担を軽減することが可能なため、特別な規定が設けられています。
①みなし役員や使用人兼務役員の判定
形式的に役員の名称を持っている者だけでなく、みなし役員として実質的に法人の経営に従事している者も役員の範囲に含める規定があります。法人税法上、役員に支給した過大な給与は損金にできず、形式的に役員から除外することを防止するために、形式ではなく実質で役員判定を行うものです。

②留保金課税
個人株主に対する所得税は超過累進税率によって課税されます。個人株主の所得税負担を軽減するため、配当を少なくし、会社内部に利益を留保することができます。上位1株主グループで持株割合が50%超となる特定同族会社では法人の留保金に課税する規定があります。ただし、資本金等の額が1億円以下の特定同族会社については留保金課税の適用はありません。
なお、留保金課税は以下の方法で算出されます。
留保金額-留保控除額×税率=留保金課税

留保金額=会社の課税所得+課税外収入項目-社外流出の金額-法人税
留保控除額は、次の基準額のうち最も多い金額を使用します。
(1)所得基準額:所得等の金額の40%相当
(2)定額基準額:2,000万円×当期の月数/12
(3)利益積立金基準額:期末資本金の25%相当-(期首利益積立金額-前期末配当額)
税率は3,000万円以下は10%、3,000万円~1億円以下は15%、1億円を超える金額は20%となっています。

③適正な取引が行われたものとして課税所得や法人税額などを計算
税務署長は、所得を移転するような異常な取引(低価格で関係会社へ販売する等)を適正な取引が行われたものとして法人税等の課税所得や法人税額などを計算することができるという規定があります。

【参考】国税庁:同族会社

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