継続企業の前提とは、会社が将来にわたって事業を継続することを前提として、財務諸表を作成する考え方です。会計上、多くの資産や負債は「会社が今後も事業を続ける」ことを前提に評価されています。そのため、資金繰りや業績の悪化によって事業継続に重大な疑義が生じる場合には、財務諸表上も特別な検討が必要になります。
継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象としては、継続的な営業赤字や債務超過、資金繰りの逼迫、借入金の返済困難、大口取引先の喪失、金融機関からの融資停止などが挙げられます。ただし、これらの事象が存在するだけで直ちに会社が倒産するという意味ではありません。
経営者は、将来の資金繰りや事業計画を踏まえ、会社が事業を継続できるかを評価します。例えば、増資や借換え、資産売却、コスト削減、新規受注の獲得などにより資金不足を回避できる可能性がある場合には、その対応策の実現可能性も含めて検討します。
その結果、重要な不確実性が残る場合には、財務諸表に継続企業の前提に関する注記を記載し、会社が置かれている状況や対応策を投資家等に説明することになります。
監査においても、監査人は経営者による継続企業の前提の評価が適切かを検討します。資金繰り表、事業計画、金融機関との交渉状況、資金調達の実現可能性などを確認し、重要な不確実性が適切に開示されているかを判断します。
継続企業の前提は、単なる会計上の形式的な論点ではありません。業績悪化の早い段階から資金繰りを把握し、必要な対策を講じることが、事業継続の可能性を高めることにつながります。経営者にとっては、決算時だけでなく平時から資金計画や財務体質を管理することが重要です。
