ストックオプションとは
ストックオプション制度とは、会社が取締役や従業員に対して、予め定めた価額(権利行使価額)で会社の株式を取得することのできる権利(ストックオプション)を付与し、取締役や従業員が将来、株価の上昇した時点で権利行使を行い、会社の株式を取得及び売却で、株価上昇分の経済的な利益が得られる報酬制度を指します。

ストックオプション行使及び株式売却による報酬額が、企業の業績向上による株価の上昇と直接連動することから、権利を付与された取締役や従業員の株価に対する意識は高まり、業績向上のインセンティブとなります。
そして、業績向上による株価上昇は株主にとっても利益をもたらすこととなります。
ストックオプション制度は、新株予約権の無償発行に該当します。

ストックオプションに関する税制(所得税法)
原則、ストックオプションの権利を行使時の株価が権利行使価額を上回っている部分について給与所得として課税されます。また、株式の売却時に、譲渡価額と権利行使時の株価との差額部分について譲渡所得として課税がされます。これは、税制非適格ストックオプションと言われます。

税制適格ストックオプションの場合には、権利行使時の課税は繰延べられて、株式売却時に売却価額と権利行使価額との差額が譲渡所得として課税されます。

税制非適格ストックオプションでは、給与所得として総合課税され、高い税率が課せられる、権利行使はしていても売却を行っていなければ、キャッシュインより課税が早いというデメリットがあります。
税制適格ストックオプションでは、株式売却時に20.315%税率の譲渡所得の申告分離課税で完結するため、売却後の納税、低税率というメリットがあります。

税制適格ストックオプションの要件
税制適格ストックオプションの主な要件は以下のようになっています。
・会社法に沿って発行された新株予約権で、無償で発行されたもの。

・以下の株式比率以内
-上場株式の場合:発行済株式総数の10分の1以下
-非上場株式の場合:発行済株式総数の3分の1以下

・権利行使価額が年間1,200万円以下。

・新株予約権に係る契約における要件
-新株予約権の付与決議の日から2年を経過した日から10年を経過する日までの間に新株予約権の行使を実施。
-権利行使価額の年間の合計額が、1,200万円を超えないこと。
-権利行使価額は、新株予約権等に係る契約の締結時における、株価に相当する金額以上であること。
-新株予約権の譲渡制限。
等となります。

なお、税制適格ストックオプションを発行した会社は、特定新株予約権等の付与に関する調書を翌年1月31日までに税務署長に提出する必要があります。

【参考】国税庁:税制非適格ストック・オプションに係る課税関係について

【参考】国税庁:ストック・オプション税制の適用を受けて取得した株式を譲渡した場合

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