システム開発やDX投資が増えるなか、ソフトウェア制作費を「費用」とするのか「資産」とするのかは、決算上の重要な論点です。特に自社開発や外部ベンダーへの開発委託では、支払額のすべてをそのままソフトウェアとして資産計上できるわけではありません。
自社利用ソフトウェアの資産計上
自社利用のソフトウェアについては、その利用によって将来の収益獲得または費用削減が確実と認められる場合、その取得・制作に要した費用を無形固定資産として計上します。反対に、将来の効果が明確でない場合や、研究開発に該当する支出については、原則として発生時の費用となります。研究開発費については、会計基準上、すべて発生時に費用処理することとされています。
資産計上の対象には、プログラムの制作費だけでなく、システム仕様書など一定の関連費用が含まれる場合があります。そのため、開発会社からの請求書を一括して処理するのではなく、要件定義、開発、テスト、保守など、作業内容ごとに会計処理を検討することが重要です。
償却期間にも注意
資産計上した自社利用ソフトウェアは、利用の実態に応じた合理的な方法で償却します。一般的には定額法が用いられ、耐用年数は利用可能期間を基礎として原則5年以内とされています。5年を超える場合には合理的な根拠が必要です。
監査で重視されるのは「根拠」
公認会計士の立場から特に重要なのは、資産計上額だけでなく、その判断根拠を残しておくことです。開発計画、稟議書、契約書、見積書、工数表、検収資料などから、いつ将来の収益獲得・費用削減が確実になったのか、どこまでを資産計上したのかを説明できるようにしておく必要があります。
ソフトウェア投資が大きい会社では、決算時にまとめて判断するのではなく、開発開始時から経理部門と開発部門が連携し、資産計上の範囲を整理しておくことが適切な決算につながります。
