取締役を任期途中で解任され、会社との裁判や和解により損害賠償金を受け取った場合、「役員報酬の代わりだから給与所得になる」と考えがちですが、必ずしもそうではありません。

会社法339条2項では、正当な理由なく解任された取締役は、会社に対して解任によって生じた損害の賠償を請求できます。国税庁の文書回答事例では、残存任期中に受け取る予定だった役員報酬相当額を基礎として算定された損害賠償金について、解任後は役員として業務を行っておらず、役務提供の対価ではないことから、給与所得ではなく「一時所得」に該当するとされています。

一時所得は、原則として「収入金額-収入を得るために直接要した支出-特別控除50万円」で計算し、さらにその2分の1を給与所得などと合算して所得税を計算します。そのため、給与所得として課税される場合とは税額が大きく異なる可能性があります。

もっとも、「和解金」という名称だけで所得区分を判断することはできません。和解金に未払役員報酬、退職金、慰謝料、遅延損害金などが含まれている場合には、それぞれの性質に応じた税務処理の検討が必要です。また、裁判のために負担した弁護士費用についても、一時所得を得るために直接要した支出として控除できるかを個別に確認する必要があります。

取締役解任に伴う和解金を受け取った場合は、確定申告の前に、和解契約書、訴状、判決書、弁護士費用の請求書などを確認し、「何に対して支払われた金銭なのか」を整理することが重要です。