平成30年2月16日に、税効果会計に係る会計基準の一部改正が行われました。
それに合わせて、下記の適用指針も一部改正が行われています。
・税効果会計に係る会計基準の適用指針
・繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針
・中間財務諸表等における税効果会計に関する適用指針
改正内容は、平成30年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用することとされています。

その改正内容について、解説させていただきます。

【個別財務諸表における子会社株式等に係る将来加算一時差異の取扱い】
従来は、個別財務諸表における子会社株式及び関連会社株式に係る将来加算一時差異について、一律、繰延税金負債を計上することとされていました。改正後においては、個別財務諸表における子会社株式及び関連会社株式に係る将来加算一時差異の取扱いを連結財務諸表における子会社及び関連会社に対する投資に係る将来加算一時差異の取扱いに合わせました。
子会社及び関連会社に対する投資の売却等を自身で決めることができ、かつ、予測可能な将来の期間にその売却等を行う意思がない場合を除いて、繰延税金負債を計上することに見直すこととされました。

【(分類1)に該当する企業における繰延税金資産の回収可能性に関する取扱い】
繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針において、「(分類1)に該当する企業においては、原則として、繰延税金資産の全額について回収可能性があるものとする。」と「原則として、」が追加されました。これは、完全支配関係にある国内の子会社株式の評価損について、企業が当該子会社を清算するまで当該子会社株式を保有し続ける方針がある場合等、将来において税務上の損金に算入される可能性が低いときに当該子会社株式の評価損に係る繰延税金資産の回収可能性はないと判断することが適切であることを明確にするものであるとされています。

【表示】
従来は、繰延税金資産及び繰延税金負債は、関連した資産・負債の分類に基づいて、流動固定分類をすることが定められていました。改正においては、繰延税金資産は投資その他の資産の区分に表示し、繰延税金負債は固定負債の区分に表示することとされており、すべて固定区分で表示することとなりました。

【注記事項】
・評価性引当額の内訳に関する数値情報
繰延税金資産の発生原因別の主な内訳(以下「発生原因別の注記」)として、税務上の繰越欠損金を記載している場合であって、当該税務上の繰越欠損金の額が重要であるときは、これまで発生原因別の注記に示されていた評価性引当額の合計額を、税務上の繰越欠損金に係る評価性引当額と将来減算一時差異等の合計に係る評価性引当額に区分して記載することとされています。

・評価性引当額の内訳に関する定性的な情報
評価性引当額に重要な変動が生じている場合、当該変動の主な内容を記載することとされています。

・税務上の繰越欠損金に係る繰越期限別の数値情報
発生原因別の注記として税務上の繰越欠損金を記載している場合で、その金額が重要であるときは、繰越期限別に次の数値を記載することとされています。
-税務上の繰越欠損金の額に税率を乗じた額(発生原因別の注記に記載されている額)
-税務上の繰越欠損金に係る評価性引当額
-税務上の繰越欠損金に係る繰延税金資産

・税務上の繰越欠損金に関する定性的な情報
財務諸表利用者が繰越欠損金に係る繰延税金資産の回収可能性を評価できないことから、税務上の繰越欠損金に係る重要な繰延税金資産を回収可能と判断した主な理由を記載することとされています。

・連結財務諸表を作成している場合の個別財務諸表における注記事項
連結財務諸表を作成している場合、個別財務諸表における税効果会計に関する注記事項については、評価性引当額の内訳に関する数値情報のみを追加することとされています。

特に注記事項が大きく改正されました。

【参考】企業会計基準委員会 企業会計基準第28号
「税効果会計に係る会計基準」の一部改正

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