国際的な企業グループでは、親会社から子会社への貸付を利用し、利息を通じて利益を移転するスキームが問題となることがあります。こうした税源浸食を防止するために設けられているのが「過少資本税制」です。本制度は、一定以上の借入に対する支払利息の損金算入を制限するものであり、国際税務において重要な位置づけを持ちます。
1.制度の概要
過少資本税制とは、国外関連者からの借入金が過大である場合に、その借入に係る利息の一部について、損金算入を認めない制度です。
これは、自己資本に対して過度に借入金に依存している企業に対し、税務上の調整を行う仕組みといえます。
2.適用対象
対象となるのは、主に外国親会社などの国外関連者からの直接借入、国外関連者が保証している第三者借入です。
つまり、実質的に国外関連者から資金供給を受けている場合には広く適用対象となります。
3.判定基準(3:1ルール)
過少資本税制では、次の基準により判定します。
関連者借入金 > 自己資本×3倍
この基準を超える部分が「過大借入」とされます。
4.損金不算入額の計算
過大借入に対応する利息は、次のように計算されます。
損金不算入額 = 支払利息 ×(過大借入金 ÷ 総借入金)
これにより、借入の一部に対応する利息が税務上否認されます。
5.実務上の重要ポイント
(1)自己資本の定義
判定に用いる自己資本は、税務上の資本(資本金+利益剰余金等)であり、単なる資本金ではない点に注意が必要です。
(2)保証の影響
第三者借入であっても、親会社保証がある場合は対象となるため、見落としがちな論点です。
(3)過大支払利子税制との関係
過少資本税制に加え、過大支払利子税制(EBITDA基準)も適用される可能性があり、いずれか厳しい方で制限されます。
過少資本税制は、借入過多を抑制する制度、利息損金算入を制限する国際税務上重要な規制です。
借入の過大さが税務リスクになるため、国外関連者との資金取引がある企業では、資本構成の設計が税務上の重要な論点となります。事前のシミュレーションと継続的な管理により、リスクの最小化を図ることが求められます。
