事業用の機械や設備を購入した場合、通常は法定耐用年数にわたって減価償却費を計上します。特別償却とは、一定の要件を満たす設備投資について、通常の減価償却費に加えて一定額を追加で償却できる税制上の優遇措置です。

例えば、中小企業投資促進税制では、青色申告を行う一定の中小企業者等が対象となる機械装置やソフトウェアなどを取得して事業に使用した場合、原則として取得価額の30%の特別償却を選択できます。

特別償却の大きなメリットは、設備を取得した年度の減価償却費を増加させ、課税所得を圧縮できることです。ただし、資産の取得価額そのものが増えるわけではありません。初年度に多く償却すれば、その後の年度に計上できる減価償却費は少なくなるため、基本的には税負担を将来へ繰り延べる効果を持つ制度と考える必要があります。

また、設備投資に関する優遇税制には、特別償却と税額控除のいずれかを選択できる制度もあります。税額控除は法人税額そのものを減少させるのに対し、特別償却は所得金額を減少させる点が異なります。そのため、当期の利益水準や将来の業績見込み、税額控除の上限などを踏まえて、有利な方法を検討することが重要です。

さらに、中小企業経営強化税制では、認定を受けた経営力向上計画に基づいて一定の設備を取得するなどの要件を満たせば、即時償却を選択できる場合があります。現行制度では適用期限が令和9年3月31日までとされています。

設備投資を予定している場合には、購入後では必要な認定手続が間に合わない制度もあります。契約・取得前の段階から、利用できる税制がないか税理士に確認することが重要です。

【参考】国税庁:中小企業投資促進税制