サステナビリティ情報の開示

世界各地の投資家から、サステナビリティ情報開示関連の法整備に対する要求が増し、上場企業の情報開示に大きな変更が求められています。
時価総額3兆円以上のプライム市場上場企業を対象に、2027年3月期からサステナビリティ基準委員会(SSBJ)の基準に従ったサステナビリティ情報の開示が義務化される予定です。段階的に範囲を拡大し、2028年3月期から時価総額1兆円~3兆円未満の企業が、2029年3月期から時価総額5,000億円~1兆円未満の企業がサステナビリティ情報の開示の義務化がなされる案が示されています。
それぞれ、サステナビリティ情報が義務化となる翌事業年度から、時価総額3兆円以上のプライム市場上場企業であれば2028年3月期から、開示内容を担保するための保証が求められる予定です。

金融庁:サステナビリティ情報の開示に関する特集ページ

防衛特別法人税の税効果会計への影響

日本の防衛力強化の財源を安定的に確保するために防衛特別法人税が創設されました。防衛特別法人税は、2026年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。
防衛特別法人税の課税対象となるのは、基準法人税額です。基準法人税額は、課税所得に法人税率を乗じて計算される所得控除後・税額控除前の法人税額です。
基準法人税額から年間500万円の基礎控除を差し引いて、4%の税率を乗じて防衛特別法人税を算出します。

資本金1億円以下の中小法人の場合では、所得が2,400万円程度までであれば、防衛特別法人税は発生しない見込みです。

なお、法定実効税率の算定式も変更が生じます。
法定実効税率={法人税率×(1+地方法人税率+防衛特別法人税率+住民税率)+事業税率+事業税率(標準税率)×特別法人事業税率}÷(1+事業税率+事業税率(標準税率)×特別法人事業税率
東京都の大法人では法定実効税率が30.62%から31.52%へ変更されることになります。

参考 ASBJ:防衛特別法人税の会計処理及び開示に関する当面の取扱い(案)

参考 ASBJ:<補足文書> 2025年3月期決算における令和7年度税制改正において創設される予定の防衛特別法人税の税効果会計の取扱いについて

四半期報告書の廃止について

令和5年改正金融商品取引法により、2024年4月1日から上場会社の第1・第3四半期の四半期報告書が廃止され、その代わりに第2四半期の半期報告書の提出が義務付けられることになりました。
四半期決算は証券取引所の四半期決算短信に一本化されます。

第1・第3四半期において、決算短信と四半期報告書の両方を作成する実務負担が上場会社ではなくなります。

第1・第3四半期決算短信に含まれる四半期財務諸表等の監査人によるレビューは、原則任意となりました。
以下の場合には、第1・第3四半期決算短信の監査人によるレビューが義務付けられます。
・直近の有価証券報告書、半期報告書、四半期決算短信が無限定適正意見以外の場合
・直近の内部統制監査報告書が無限定適正意見以外の場合
・直近の内部統制監査報告書に開示すべき重要な不備がある場合
・当初の期限内に有価証券報告書、半期報告書が提出されない場合
・直近の半期報告書の訂正を行う場合で、レビュー報告書が添付される場合

税務研究会が2024/8/26に公表した情報によると、上場企業の四半期短信(2,498社)を調査した結果、レビュー報告書を添付した企業は611社(24.5%)であるとのことです。

また、売上高の大きい企業ほど、任意で決算短信にレビュー報告書を添付している割合が高いようです。

参考:東京証券取引所「四半期開示の見直しに関する実務の方針」の公表について

「移管指針の適用」について

 日本の会計基準は、企業会計審議会が公表し、実務上の取扱い等を示す企業会計に関する実務指針については日本公認会計士協会が公表していました。
 2001年に企業会計基準委員会が設立された後は、いずれについても企業会計基準委員会が公表することとしていましたが、日本公認会計士協会が公表した実務指針等については包括的に企業会計基準委員会に引き継ぐことはされていませんでした。
 企業会計基準委員会及び日本公認会計士協会は、日本公認会計士協会が公表した実務指針等を企業会計基準委員会に移管するプロジェクトについての考え方を示し、企業会計基準等に新たに「移管指針」の区分が設けられました。「移管指針」として公表されたものは以下になります。

移管指針「移管指針の適用」
移管指針第1号「ローン・パーティシペーションの会計処理及び表示」
移管指針第2号「外貨建取引等の会計処理に関する実務指針」
移管指針第3号「連結財務諸表におけるリース取引の会計処理に関する実務指針」
移管指針第4号「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」
移管指針第5号「株式の間接所有に係る資本連結手続に関する実務指針」
移管指針第6号「連結財務諸表等におけるキャッシュ・フロー計算書の作成に関する実務指針」
移管指針第7号「持分法会計に関する実務指針」
移管指針第8号「研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針」
移管指針第9号「金融商品会計に関する実務指針」
移管指針第10号「特別目的会社を活用した不動産の流動化に係る譲渡人の会計処理に関する実務指針」
移管指針第11号「研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関するQ&A」
移管指針第12号「金融商品会計に関するQ&A」
移管指針第13号「特別目的会社を活用した不動産の流動化に係る譲渡人の会計処理に関する実務指針についてのQ&A」
移管指針第14号「土地再評価差額金の会計処理に関するQ&A」

企業会計基準委員会:移管指針公開草案「移管指針の適用(案)」等の公表

サステナビリティ開示等の課題対応にあたって参考となる開示例集

金融庁の令和5年度の有価証券報告書レビューでは、サステナビリティ、人的資本・多様性及びコーポレート・ガバナンスに関する開示が重点テーマに含まれていました。

法令改正関係審査及び重点テーマ審査の結果として、複数の審査対象会社に以下のような共通した課題が識別されています。
〇サステナビリティに関する考え方及び取組
・サステナビリティ関連のガバナンスに関する記載がない又は不明瞭である。
・サステナビリティ関連のリスク及び機会を識別、評価及び管理するための過程の記載がない又は不明瞭である。
・戦略並びに指標及び目標のうち、重要なものについて記載がない。
・サステナビリティ関連のリスク及び機会の記載がない又は不明瞭なため、サステナビリティに関する戦略並びに指標及び目標に関する記載が不明瞭である。
・人的資本に関する方針、指標、目標及び実績のいずれかの記載がない又は不明瞭である。
〇従業員の状況
・女性管理職比率を女性活躍推進法の管理職の定義に従って算定・開示していない。
〇コーポレート・ガバナンスの状況等
・取締役会、会社が任意に設置する指名・報酬委員会、監査役会等の開催頻度、具体的な検討内容、出席状況等の記載がない。
・内部監査が取締役会に直接報告を行う仕組みの有無に関する記載がない。
・政策保有株式縮減の方針を示しつつ、売却可能時期等について発行者と合意をしていない状態で純投資目的の株式に変更を行っており、又は、発行者から売却の合意を得た上で純投資目的の株式に区分変更したものの、実際には長期間売却に取り組む予定はなく、実質的に政策保有株式を継続保有していることと差異がない状態になっている。

上記の共通課題以外に、サステナビリティ開示等の課題対応にあたって参考となる開示例集として、サステナビリティ開示の好事例集が公表されています。

金融庁:有価証券報告書の作成・提出に際しての留意すべき事項等及び有価証券報告書レビューの実施について(令和6年度)