消費税の課税事業者に関して

消費税の課税事業者についてご説明します。

免税事業者の条件
消費税法では、課税期間に係る基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者は、納税の義務が免除されます。

免税事業者に該当しない事業者は課税事業者となります。

基準期間における課税売上高とは、
・個人事業者の場合は前々年の課税売上高
・法人の場合は前々事業年度の課税売上高
(基準期間が1年でない法人の場合は、1年に相当する金額に換算し判定)

※課税売上高は、輸出などの免税取引を含め、返品、値引き、割戻しをした対価の返還等の金額を差し引いた額(課税事業者は税抜、免税事業者は税込)で算定します。

新設法人については、設立1期目及び2期目の基準期間がないため、原則、納税義務が免除されます。しかし、基準期間のない事業年度であってもその事業年度の開始の日における資本金の額又は出資の金額が、1,000万円以上である場合や特定新規設立法人(親会社の課税売上高が5億円を超えている等)に該当する場合は、納税義務は免除されません。

特定期間
課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下であっても特定期間における課税売上高が1,000万円を超えた場合、その課税期間から課税事業者となります。なお、特定期間における1,000万円の判定は、課税売上高に代えて、給与等支払額の合計額により判定することもできます。

【参考】国税庁:納税義務の免除

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消費税簡易課税制度

制度の概要
消費税の納付税額は、【課税売上げ等に係る消費税額-課税仕入れ等に係る消費税額】という算式で計算しますが、課税期間の前々年又は前々事業年度(基準期間)の課税売上高が5,000万円以下で、簡易課税制度の適用を受ける旨の届出書を事前に提出している事業者は、課税売上高から仕入控除税額の計算を簡便的に行うことができる簡易課税制度を適用することができます。

簡易課税制度は、みなし仕入率という仕入控除税額を課税売上高に対する税額の一定割合とするというものです。
みなし仕入率は、業種により以下の割合とされています。
第一種事業(卸売業)90%
第二種事業(小売業)80%
第三種事業(製造業等)70%
第四種事業(その他の事業)60%
第五種事業(サービス業等)50%
第六種事業(不動産業)40%

簡易課税のメリット・デメリット
メリット
・消費税の計算が容易
・コンサルティング業等の課税仕入が少ない業種では、みなし仕入率の利用で納税額で有利になる場合がある
・仕入税額控除のための帳簿作成の必要がない
デメリット
・業種によっては、税負担が増す場合もある
・2年間継続する必要がある
・複数事業を営む場合は売上を区分する必要があるため、煩雑になる可能性がある
・複数事業を営む場合で売上を区分できていなければ最も低いみなし仕入率を適用することとなる

消費税簡易課税制度の適用に関する届出
簡易課税の適用を受けようとする課税期間の初日の前日までに、消費税簡易課税制度選択届出手続を所轄の税務署へ提出する必要があります。

【参考】国税庁:簡易課税制度

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消費税の軽減税率制度

平成31年10月1日から、消費税率の10%への引き上げに合わせて「酒類・外食を除く飲食料品」と「週2回以上発行される新聞(定期購読契約に基づくもの)」を対象に消費税の軽減税率制度が実施されます。
軽減税率制度は、軽減税率の対象品目を取扱う事業者だけではなく、軽減税率の対象品目の売上げがない事業者や、消費税の納税義務のない免税事業者を含め、全ての事業者に関係のある制度です。

【消費税率について】
平成31年10月1日からの消費税の国税分、地方税分は以下のようになります。
消費税の軽減税率は現行の8%と同じですが、消費税率と地方消費税率の割合が異なります。

消費税区分 現行 平成31年10月1日以降
軽減税率 標準税率
消費税率 6.3% 6.24% 7.8%
地方消費税率 1.7% 1.76% 2.2%
合計 8.0% 8.0% 10.0%

【区分記載請求書等保存方式】
軽減税率制度の実施に伴い、消費税の税率が軽減税率と標準税率の複数税率となることから、事業者は消費税の申告を行うために、税率の異なる取引ごとに区分して記帳する区分経理を実施する必要があります。消費税の仕入税額控除の適用に帳簿及び請求書の保存が要件となっていましたが、平成31年10月1日以降は、区分経理に対応した帳簿及び請求書の保存が要件となります。

【税額計算の特例】
区分経理を行うことが困難な中小事業者(基準期間における課税売上高が5,000万円以下の事業者)には経過措置として、売上税額の計算の特例や仕入税額の計算の特例が設けられています。

【適格請求書等保存方式】
複数税率に対応した仕入税額控除の方式として平成35年10月1日から「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」が導入されます。適格請求書発行事業者として税務署長の登録を受けた課税事業者から交付を受けた適格請求書の保存が仕入税額控除の要件となります。適格請求書発行事業者としての登録は、平成33年10月1日から申請可能です。

小売業のPOSレジの改修等実務上や新規投資へ影響は大きく、中小企業・小規模事業者等が複数税率対応レジの導入や、発注システムの改修等を行う際(リースによる導入も補助対象)に、その経費の一部を補助する「軽減税率対策補助金」の制度も創設されています。

【参考】国税庁:消費税及び地方消費税の税率

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