パススルー課税について

パススルー課税は、投資ファンドなどでキャピタルゲインや配当金などの利益を得ても、投資ファンドでは課税されず、利益配分を受けた出資者や構成員に課税されるものです。パススルー課税は、構成員課税とも呼ばれます。

投資ファンドに課税が行われると、出資者に課税後の利益が分配されることになり、その分配金に対してもさらに所得税が課税されるという二重課税が発生します。投資効率が大幅に低下することがないように、一定の法制度に基づいて設立された組合においてはパススルー課税が適用されます。

パススルー課税の対象としては、有限責任事業組合(LLP)、投資事業有限責任組合(LPS)、任意組合が挙げられます。

また、J-REITのような投資法人(「投資信託及び投資法人に関する法律」に基づいて設立される法人。)においては、配当可能利益の90%超を分配する等の要件を満たせば、配当等の額を損金算入でき、結果的に法人税は課税されないため、実質上パススルー課税と同様です。

【参考】国税庁:パス・スルー課税のあり方-組合事業における組合員の課税関係とその諸問題-

医師の確定申告

勤務医の場合

雇用契約になりますので、所得税の計算上は給与所得の区分になります。

年収が2,000万円を超える病院にお勤めの医師は確定申告が必要になります。

非常勤や単発アルバイト等で複数の病院に勤務している医師は、年末調整を行っていない2か所目の勤務先からの収入が年間20万円を超えていれば、所得税の確定申告が必要です。

開業医の場合

開業医は事業所得として所得税の確定申告が必要になります。
開業医の事業所得の計算上の収入は、以下の3つに分類されます。
・社会保険診療報酬と国民健康保険診療報酬による「保険診療収入」
・保険適用外の「自由診療収入」
・医療行為以外の「雑収入」

社会保険診療報酬が5,000万円以下である場合に、所得税の計算上、実際の必要経費の金額に関わらず、概算経費を必要経費等に算入することができます。自由診療報酬も含めたその年の収入金額が7,000万円を超えた場合には対象外になります。

社会保険診療報酬 概算経費率の速算表
2,500万円以下 ×72%
2,500万円超3,000万円以下 ×70%+50万円
3,000万円超4,000万円以下 ×62%+290万円
4,000万円超5,000万円以下 ×57%+490万円

国税庁:社会保険診療報酬の所得の計算の特例

セルフメディケーション税制について

セルフメディケーション税制とは

健康の保持増進及び疾病の予防への一定の取組を行っている方が、自己または自己と生計を一にする配偶者その他の親族のために特定一般用医薬品等購入費を支払った場合に、所得控除(医療費控除の特例)を受けることができます。

セルフメディケーション税制の適用を受けようとする年度において、健康の保持増進及び疾病の予防への一定の取組を行っている必要があり、以下が該当します。
①健康保険組合や国保の健康診査、人間ドック、各種検診等
②定期予防接種、インフルエンザワクチンの予防接種
③勤務先で実施する定期健康診断
④特定健康診査(メタボ健診)、特定保健指導
⑤市町村の健康増進事業(がん検診)

特定一般用医薬品等購入費は、医師によって処方される医薬品(医療用医薬品)、ドラッグストアで購入できるOTC医薬品等の購入費が該当します。

ドラッグストアで購入できるOTC医薬品のパッケージにセルフメディケーション税制の対象である旨を示す識別マークが掲載されています。

セルフメディケーション税制による医療費控除額
セルフメディケーション税制による医療費控除額は、特定一般用医薬品等購入費の合計額から12,000円を差し引いた金額で、最高88,000円までの所得控除となります。

関連コラム:医療費控除について

国税庁:特定一般用医薬品等購入費を支払ったとき(医療費控除の特例)

電子申告のメリット

e-Taxは、国税庁が提供する国税電子申告・納税システムです。

e-Taxで確定申告をするメリット
①確定申告書類を紙面に印刷して郵送や税務署に持参する必要はなく、申告期間中は24時間いつでも提出可能になっています。

②e-Taxで電子申告をすると、紙の申請では添付が必要な書類の提出が省略できます。
例えば、以下の様な書類です。
・給与所得者の源泉徴収票
・社会保険料控除の証明書
・生命保険料控除の証明書
・地震保険料控除の証明書
・2年目以降の住宅ローン控除の借入金年末残高証明書
・医療費控除の領収書
・寄付金控除の証明書

③還付される税金がある場合、e-Taxでの確定申告は還付のスピードが速いです。
一概には言えませんが、e-Taxでの電子申告では3週間程度で還付が処理されますが、書面での提出においては還付まで1ヶ月から1ヶ月半の時間がかかります。

④青色申告事業者がe-Taxの電子申告を実施した場合、65万円の青色申告特別控除を適用できます。

国税庁:インターネットを利用して申告や納税などの手続をしたいとき

医療費控除について

医療費控除は、支払った医療費が一定額を超えるときに所得控除を受けることができるものです。

医療費控除の対象

医療費控除の対象となる医療費は次のものです。
①自己または自己と生計を一にする配偶者や親族のために支払った医療費。
②確定申告対象年度に支払った医療費。(未払いの医療費は、実際に支払った年度の医療費控除の対象です。)

医療費控除の対象となる金額
以下の算式で計算されます。
「実際に支払った医療費の合計額」-「保険金などで補てんされる金額」-「10万円」

ただし、総所得金額等が200万円未満であれば、総所得金額等の5パーセントの金額が医療費控除の金額になります。

美容医療に関しては、原則として医療費控除の対象外です。
美容整形手術、シミ取りやニキビ跡の治療等の美容整形外科、ホワイトニング、自由診療の歯列矯正等の美容歯科での美容医療は医療費控除の対象外となります。

関連コラム:セルフメディケーション税制について

国税庁:医療費を支払ったとき(医療費控除)