収益認識に関する会計基準では、顧客との契約を識別した後、契約に含まれる履行義務を識別します。履行義務とは、簡単にいえば、企業が顧客に財又はサービスを移転する約束です。一つの契約に複数の商品やサービスが含まれている場合、それらを一つの履行義務として扱うのか、複数に分けるのかを検討する必要があります。

履行義務を識別する際のポイントは、約束した財又はサービスが別個であるかどうかです。具体的には、①その財又はサービスについて、単独または顧客が容易に利用できる他の資源と組み合わせることで顧客が便益を享受できること、②その財又はサービスを移転する約束が、契約に含まれる他の約束と区分して識別できること、の両方を満たす場合には、原則として独立した履行義務として取り扱います。

例えば、機器の販売と保守サービスをセットで提供する契約では、機器と保守サービスをそれぞれ単独で利用でき、両者が明確に区分できるのであれば、二つの履行義務として識別することが考えられます。一方、複数の財やサービスを高度に統合して一つの成果物を提供する場合などには、一つの履行義務として扱うことがあります。

また、契約書に明記された内容だけを確認すればよいわけではありません。企業の取引慣行や公表した方針などから、顧客が追加的な財又はサービスの提供を合理的に期待している場合には、それらが履行義務となる可能性があります。

履行義務の識別を誤ると、取引価格の配分や売上を計上する時期にも影響します。複合的な契約では、契約書の名称や請求単位だけで判断せず、顧客に何を提供する約束なのかを実態に即して整理することが重要です。

【参考】ASBJ:企業会計基準適用指針第30号 収益認識に関する会計基準の適用指針

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