固定資産の減損に係る会計基準についてご説明します。
本会計基準は、有形固定資産、無形固定資産が対象となり、他の基準に減損処理に関する定めがある金融商品や繰延税金資産は対象外です。
会計基準の適用にあたっては、資産のグルーピング→減損の兆候の判定→減損損失の認識→減損損失の測定というステップで進みます。
資産のグルーピング
資産のグルーピングは、他の資産又は資産グループのキャッシュ・フローから概ね独立したキャッシュ・フローを生み出す最小の単位で行います。 資産グループで認識された減損損失は、各構成資産に配分します。資産のグルーピングは、管理会計上の区分や投資の意思決定の区分に基づいて行います。
本社機能などの共用資産やのれんがある場合にはそれらを加えたより大きな単位で判定します。
減損の兆候
資産又は資産グループに減損の兆候がある場合には、減損損失を認識するかの判定を行います。減損の兆候は以下のように例示されています。
①営業活動から生ずる損益又はキャッシュ・フローが、継続してマイナス、あるいは、継続してマイナスとなる見込みであること。「継続してマイナスとなる見込み」とは、前期と当期以降の見込みが明らかにマイナスとなる場合を指します。
②資産又は資産グループの回収可能価額を著しく低下させる変化が生じたか、あるいは、生ずる見込みであること。これは、事業の廃止や再編等が該当します。
③経営環境が著しく悪化したか、あるいは、悪化する見込みであること。これは、市場環境の悪化、技術革新、法規制の強化等が挙げられます。
④市場価格が著しく下落したこと。具体的には、主要な資産が土地である場合の地価の下落が挙げられます。
減損損失の認識
減損の兆候がある資産又は資産グループについて減損損失を認識するかの判定は、資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額と固定資産の帳簿価額を比較すし、割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合に減損損失を認識します。
減損損失の測定
減損損失を認識すべきと判定された資産又は資産グループは、帳簿価額を回収可能価額まで減額処理し、当該減少額を減損損失として特別損失に計上します。回収可能価額は、事業計画から算出されたキャッシュフローを割引計算した金額または正味売却価額のいずれか大きい金額を採用します。
注記事項
重要な減損損失を認識した場合には、損益計算書に係る注記事項として、以下の項目を注記します。
(1)減損損失を認識した資産又は資産グループについては、その用途、種類、場所などの概要
(2)減損損失の認識に至った経緯
(3)減損損失の金額については、特別損失に計上した金額と主な固定資産の種類ごとの減損損失の内訳
(4)資産グループについて減損損失を認識した場合には、当該資産グループの概要と資産をグルーピングした方法
(5)回収可能価額が正味売却価額の場合には、その旨及び時価の算定方法、回収可能価額が使用価値の場合にはその旨及び割引率
【参考】企業会計基準委員会 企業会計基準適用指針第6号
固定資産の減損に係る会計基準の適用指針