企業が親会社、子会社、関連会社、役員、主要株主などとの間で行う取引を関連当事者取引といいます。関連当事者との取引自体が問題となるわけではありませんが、通常の第三者との取引とは異なる条件で行われる可能性があるため、会計・監査上は特に注意が必要です。
例えば、親会社から子会社へ市場価格より高い価格で商品を販売したり、役員が関係する会社へ通常より有利な条件で資金を貸し付けたりすれば、会社間で利益や財産を移転することが可能になります。また、関連会社への売上計上によって業績を良く見せたり、損失を他社へ移転したりするなど、利益調整に利用されるリスクもあります。
そのため、企業会計基準では、重要な関連当事者取引について、関連当事者との関係、取引内容、取引金額、期末残高、取引条件などを財務諸表に注記することを求めています。これは、財務諸表利用者が、関連当事者の存在や取引が会社の財政状態・経営成績に与える影響を適切に判断できるようにするためです。
監査においても、関連当事者取引は重要な確認事項です。特に、通常の取引過程から外れた取引、多額または異常な条件の取引、期末直前に行われた取引などについては、その事業上の合理性や取引条件、承認手続などを慎重に検討します。
企業側では、関連当事者を毎期網羅的に把握し、取引を一覧化するとともに、取締役会等による承認、第三者価格との比較、契約書の整備などを行うことが重要です。関連当事者取引を適切に管理・開示することは、正確な決算だけでなく、企業のガバナンスや財務情報の信頼性を確保するうえでも重要となります。
