医療法人には、大きく分けて「持分あり医療法人」と「持分なし医療法人」があります。ここでいう「持分」とは、株式会社の株式のような議決権ではなく、出資者が医療法人の財産に対して有する財産的な権利を意味します。
持分あり医療法人では、定款の定めに基づき、社員が退社した際に出資持分に応じた払戻しを請求できる場合があります。また、持分は財産的価値を有するため、出資者が死亡すると相続税の課税対象となります。医療法人の純資産が長年の利益蓄積によって大きくなっている場合、当初の出資額が少額であっても、持分の評価額が高額になることがあります。
さらに、退社する出資者から多額の払戻請求を受けると、医療法人の資金繰りや病院・診療所の経営に影響する可能性があります。
これに対し、持分なし医療法人では、出資者が法人財産に対する持分を有しません。そのため、社員が退社しても持分に応じた財産の払戻しはなく、持分そのものを相続するという問題も生じません。なお、基金拠出型医療法人も持分なし医療法人の一類型です。
2007年4月1日の医療法改正以降、新たに設立する社団医療法人は原則として持分なし医療法人に限られ、従来から存在する持分あり医療法人は「経過措置医療法人」として存続しています。
持分あり医療法人では、事業承継や相続を考える際、持分評価額、相続税、将来の払戻請求などを早い段階から確認することが重要です。持分なし医療法人への移行を検討する場合も、持分放棄に伴う課税関係を含め、税務・法務の両面から慎重に検討する必要があります。
