収益認識に関する注記とは

収益認識に関する会計基準では、売上高の金額だけでなく、顧客との契約から生じる収益やキャッシュ・フローの「性質・金額・時期・不確実性」を財務諸表利用者が理解できるよう、一定の注記が求められています。

主な注記事項は、①収益の分解情報、②収益を理解するための基礎となる情報、③当期及び翌期以降の収益の金額を理解するための情報、の3つです。収益の分解情報では、商品・サービス、地域、市場、収益認識時期など、企業の収益構造を理解するために重要な区分に分けて開示します。

また、主要な履行義務の内容や収益を認識する通常の時点は重要な会計方針として注記します。必要に応じて、重要な支払条件、変動対価、取引価格の算定方法、履行義務への配分方法、収益認識における重要な判断などについても説明します。例えば、一定期間にわたり収益を認識する取引では、進捗度をどのように測定しているかが重要な情報となります。

さらに、契約資産・契約負債等の残高や重要な変動、期末時点で未充足の履行義務に配分された取引価格と、その収益認識が見込まれる時期なども、一定の場合に開示対象となります。

収益認識の注記では、すべてを機械的に記載するのではなく、重要性を考慮することが重要です。定型文を並べるだけでなく、自社の契約形態や収益構造、判断を要する事項が財務諸表利用者に伝わるよう、具体的かつ簡潔に記載することが求められます。

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収益認識における他社ポイント

小売店などでは、商品購入時に自社で運営するポイントではなく、第三者が運営する共通ポイントを顧客に付与することがあります。このような他社ポイントは、自社ポイントとは会計処理が異なる場合があるため注意が必要です。

収益認識に関する会計基準では、取引価格を算定する際、第三者のために顧客から回収する金額は取引価格に含めません。例えば、100円の商品を販売すると同時に、第三者であるポイント運営会社のポイントを1ポイント付与し、その対価として1円をポイント運営会社へ支払うケースを考えます。

企業がポイントを支配しておらず、ポイントの付与について顧客に重要な権利を自ら提供しているものではないと判断される場合、ポイント相当額1円はポイント運営会社のために顧客から回収した金額と考えます。この場合、100円全額を売上高とするのではなく、売上高99円、ポイント運営会社に対する未払金1円として処理します。ASBJの設例でも、この考え方が示されています。

一方、自社ポイントの場合には、将来の商品購入時に値引きを受けられる権利が顧客にとって重要な権利に該当すれば、ポイントを別個の履行義務として識別し、取引価格の一部をポイントに配分して契約負債を計上することがあります。

したがって、ポイントという名称だけで同じ処理をするのではなく、誰がポイントを運営しているのか、顧客への義務を誰が負っているのか、企業がポイントを支配しているのかを契約内容に基づいて確認することが重要です。

【参考】ASBJ:「収益認識に関する会計基準の適用指針」の設例

関連コラム:収益認識会計基準における工事契約の会計処理

収益認識会計基準における工事契約の会計処理

建設工事や設備工事などの工事契約では、工事が完成した時点で一括して売上を計上するのか、それとも工事の進捗に応じて売上を計上するのかが重要な論点となります。

収益認識に関する会計基準では、工事契約について、まず履行義務が「一定の期間にわたり充足される」ものかを判定します。具体的には、①企業が履行するにつれて顧客が便益を享受する場合、②工事の進行によって資産が生じ又は価値が増加し、その過程で顧客が当該資産を支配する場合、③完成する資産を他の顧客へ転用できず、かつ完成済み部分について対価を受け取る強制力のある権利を有する場合、のいずれかに該当すれば、一定期間にわたり収益を認識します。

この場合、工事の進捗度を合理的に見積り、その進捗度に応じて売上高と原価を認識します。進捗度の測定には、発生原価を予想総原価で除する方法などのインプット法や、完成した作業量などを利用するアウトプット法があります。また、進捗度は各決算日に見直す必要があります。

一方、一定期間にわたり充足される要件を満たさない工事は、顧客に支配が移転した一時点で収益を認識します。また、進捗度を合理的に見積れないものの、発生原価の回収が見込まれる場合には、一定期間は原価回収基準による処理が必要となります。

なお、工期がごく短い工事契約については、実務上の簡便的な取扱いとして、履行義務を完全に充足した時点で収益を認識することも認められています。

工事契約では、契約書の名称だけで判断せず、資産の支配、転用可能性、代金請求権、進捗度の測定方法を整理することが重要です。

【参考】ASBJ:企業会計基準適用指針第30号 収益認識に関する会計基準の適用指針

関連コラム:収益認識における消化仕入の取扱い

収益認識における消化仕入の取扱い

消化仕入とは、一般的に、仕入先の商品を店舗等に陳列し、実際に顧客へ販売された時点で小売業者が仕入れたものとして処理する取引形態です。通常の買取仕入と異なり、販売されるまで商品を仕入先が所有し、小売業者が在庫リスクを負わないケースが多いことが特徴です。

収益認識に関する会計基準では、顧客への商品の提供に他の企業が関与する場合、自社が本人なのか代理人なのかを判断します。本人であれば顧客から受け取る対価を総額で売上計上しますが、代理人であれば自社が得る手数料等の純額を収益として認識します。

例えば、消化仕入の商品を顧客に10,000円で販売し、仕入先へ8,000円を支払う場合を考えます。小売業者が商品の提供前に商品を支配しておらず、代理人と判断される場合、売上高10,000円・仕入高8,000円と総額表示するのではなく、その差額である2,000円を手数料収入として純額計上します。ASBJの適用指針でも同様の設例が示されています。

ただし、消化仕入という契約名称だけで自動的に純額表示になるわけではありません。商品の提供について誰が主たる責任を負うか、在庫リスクを誰が負担するか、販売価格を設定する裁量を誰が有するかなどを確認し、顧客への提供前に商品を実質的に支配しているかを判断する必要があります。

また、会計上は純額表示となっても、消費税では課税売上げと課税仕入れを総額で認識する場合があるため注意が必要です。消化仕入では、契約内容と実際の商流を整理したうえで、会計・税務それぞれの取扱いを確認することが重要です。

【参考】ASBJ:「収益認識に関する会計基準の適用指針」の設例

関連コラム:収益認識における総額表示・純額表示

収益認識における総額表示・純額表示

商品の販売やサービス提供に他社が関与する取引では、顧客から受け取る金額をそのまま売上高とする総額表示と、自社の手数料や利益部分のみを売上高とする純額表示のいずれとするかが重要な論点となります。

収益認識に関する会計基準では、企業が取引の本人である場合には総額で、代理人である場合には純額で収益を認識します。本人とは、財又はサービスが顧客に提供される前にそれらを支配し、自ら顧客に提供する企業をいいます。一方、代理人は、他社が提供する財又はサービスについて、その提供を手配することを履行義務とする企業です。代理人の場合、顧客から受け取る金額全体ではなく、手数料など企業が得る純額を収益として計上します。

本人か代理人かを判断する際には、①財又はサービスの提供について主たる責任を負っているか、②顧客への提供前や返品時などに在庫リスクを負っているか、③販売価格を設定する裁量を有しているか、といった指標を検討します。ただし、これらの項目を単純に多数決で判定するものではありません。最終的には、顧客に提供する前に財又はサービスを支配しているかを、契約内容や取引実態から総合的に判断します。

例えば、ECサイトや旅行予約、広告代理、商社取引などでは、形式上は企業が顧客から代金全額を受領していても、実態が商品の販売を仲介しているだけであれば純額表示となる可能性があります。

総額表示と純額表示では利益額が変わらない場合でも、売上高や売上高利益率などの財務指標は大きく変わります。そのため、契約書だけでなく、価格決定権、在庫リスク、顧客に対する責任などを整理し、取引の実態に即して判断することが重要です。

【参考】ASBJ:企業会計基準適用指針第30号 収益認識に関する会計基準の適用指針

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