宗教法人に係る税金

宗教法人は公益性の高い法人として、税務上一定の優遇措置が設けられています。しかし、「非課税」とのイメージとは異なり、実際には法人税・消費税・所得税のいずれについても課税関係が生じる場面があります。

1.法人税の取扱い

宗教法人は、税法上「公益法人等」に該当します。そのため、法人税については原則として、収益事業から生じた所得のみ課税されます。

宗教活動そのものである以下のような収入は収益事業に該当せず、法人税は課されません。
・お布施
・賽銭
・祈祷料

一方で、以下のような活動は収益事業に該当する可能性があります。
・駐車場経営
・不動産賃貸
・物品販売(お守り等でも形態によっては該当)
これらについては、通常の法人と同様に法人税の課税対象となるため、区分経理が重要です。

2.消費税の取扱い
消費税については、法人税とは異なり、取引ごとに課税・非課税を判定します。

(1)非課税となる取引
宗教活動に伴う収入である以下は、対価性がないため、消費税の課税対象外(不課税)となります。
・お布施
・賽銭
・寄附金

(2)課税対象となる取引
一方で、以下のような対価性がある取引は課税対象となります。
・物品販売
・駐車場収入
・不動産賃貸(条件による)

3.所得税の取扱い
宗教法人そのものには所得税は課されませんが、個人に対する支払いには所得税が関係します。
僧侶・神職への給与は、給与所得として源泉徴収します。
外部講師謝礼に関しては、報酬として源泉徴収します。
また、宗教法人の役員に対する報酬についても、給与課税の対象となります。

4.実務上の重要ポイント
(1)収益事業の判定
法人税上の最大の論点は収益事業に該当するかどうかです。

(2)対価性の有無
消費税では対価性の有無で課税判断が分かれます。

(3)区分経理の徹底
宗教活動、収益事業を明確に区分しないと、税務リスクが高まります。

宗教法人は非課税法人ではなく部分課税法人です。

宗教法人の税務は一見シンプルに見えて、収益事業の判定や対価性の判断など、実務上の難易度が高い分野です。適切な区分と理解に基づく対応が不可欠といえるでしょう。

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農業所得とは

農業を営む個人が得る所得は、所得税法上「農業所得」として区分されます。農業所得は、給与所得や事業所得とは異なる特有の取扱いがあるため、正確な理解が重要です。

1.農業所得の概要
農業所得とは、農作物の生産・販売などから生じる所得をいいます。所得の計算は、原則として他の事業所得と同様に次の式で求めます。
農業所得 = 総収入金額 − 必要経費
総収入には、農産物の販売収入のほか、補助金や交付金も含まれる点に注意が必要です。

2.事業所得との違い
農業所得は事業所得と似ていますが、税務上は区分されています。もっとも、実務上は青色申告や帳簿記帳など、基本的な考え方は事業所得と共通しています。
農業特有の論点として、家事消費・事業消費分の取扱い、棚卸資産の評価、天候による収入変動などが挙げられます。

3.実務上の重要ポイント
(1)補助金・交付金の取扱い
農業では各種補助金が支給されることがあります。これらは原則として収入として計上する必要があります。
(2)自家消費の評価
収穫した農産物を自家消費した場合でも、時価で収入計上が必要です。
(3)減価償却
農機具やビニールハウスなどの設備については、減価償却資産として処理します。

(4)収入の変動
農業は天候等の影響を受けやすく、所得が不安定になりやすい特徴があります。

4.青色申告の活用
青色申告が可能です。
青色申告特別控除、損失の繰越控除、専従者給与のメリットがあります。
特に、所得が変動しやすい農業では損失繰越が有効です。

65万円の青色申告特別控除を受ける場合
65万円の青色申告特別控除を受ける場合は、正規の簿記の原則に従って、複式簿記で貸借対照表及び損益計算書を作成できる帳簿の記載が必要となります。

10万円の青色申告特別控除を受ける場合
10万円の青色申告特別控除の場合は、簡易記帳での記入が認められます。

参考:大多喜町 農業所得の申告について

参考:入善町 農業所得の申告についてのおしらせ

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外国株式の配当に係る外国税額控除

外国株式の配当金には、現地国での源泉所得税徴収と日本での課税が行われるため、同一所得に対して二重に課税される構造となります。この二重課税を調整する制度が「外国税額控除」です。

1.二重課税の仕組み
例えば、米国株の配当金を受け取る場合、以下の課税が発生します。
米国:日米租税条約適用時の源泉税10%
日本:所得税・住民税の合計20.315%

このままでは同じ所得に対して二重課税となるため、日本の税額から外国税額を控除する仕組みが設けられています。

2.外国税額控除の概要
外国税額控除とは、外国で課された所得税に相当する税額を、日本の所得税から控除する制度です。
計算式のイメージは以下の通りです。
控除限度額 = 所得税額 ×(国外所得 ÷ 総所得)
この限度額の範囲内で、外国で納付した税額を控除できます。

外国税額控除の利用にあたっては、総合課税、または申告分離課税が選択されている場合で確定申告が必要になります。

3.適用にあたっての留意点
(1)控除しきれない場合
外国税額が多い場合、控除しきれないことがあります。
この場合は、繰越控除(3年間)、繰戻し(前年への適用)が可能です。

(2)証明書類の保存
外国税額控除を適用するには、配当計算書、年間取引報告書の保存が必要です。

(3)特定口座でも申告が必要
証券会社で源泉徴収されていても、外国税額控除を受けるには確定申告が必要です。

(4)住民税との関係
所得税で外国税額控除を適用しても、住民税では適用されないケースがあります。

外国株投資が一般化している現在、外国税額控除の適用判断はますます重要になっています。適切な制度理解に基づき、最適な申告方法を選択することが求められます。

【参考】国税庁:居住者に係る外国税額控除

【関連コラム】配当に関する税金について

不動産譲渡における固定資産税精算金の取扱い

不動産売買においては、引渡日を基準に固定資産税や都市計画税を日割りで精算するのが一般的です。この際、買主から売主へ支払われる「固定資産税精算金」を、不動産譲渡所得の計算上でどのように扱うかは、実務で誤りが多い論点の一つです。

1.固定資産税精算金の性質
固定資産税は、その年の1月1日時点の所有者に課税されます。そのため、年の途中で不動産を売却した場合でも、法律上の納税義務者は売主のままです。
しかし、不動産売買の実務では、引渡日以降の期間に対応する税額を買主が負担するのが通常であり、これを精算するのが固定資産税精算金です。

2.税務上の基本的な取扱い(個人)
固定資産税精算金については、税務上では次のように扱います。
(1)売主側
買主から受け取る固定資産税精算金は、譲渡対価の一部(総収入金額)に含めるとされます。
つまり、単なる税金の返還ではなく、実質的には売買代金の一部とみなされます。

(2)買主側
買主が支払う固定資産税精算金は、取得費に算入されます。
固定資産税精算金を支払ったといっても、納税義務者として固定資産税そのものを納付したわけではありません。

買主から受け取る精算金は、税金の負担移転ではなく経済的には売買代金の一部と整理されます。

3.税務上の基本的な取扱い(法人)
法人が不動産の売主または買主である場合、法人税の取扱いは、個人が売主または買主である場合における所得税の取扱いと同様となります。売主が受領した固定資産税精算金は収益の額に算入され、買主が支払った固定資産税精算金は取得した賃貸不動産の取得価額に算入されます。

【参考】国税庁:未経過固定資産税等に相当する額の支払を受けた場合

【関連コラム】マイホーム売却時の3,000万円特別控除

マイホーム売却時の軽減税率の特例

マイホームを売却した場合、一定の要件を満たすと、通常の長期譲渡所得よりも低い税率が適用される「軽減税率の特例」を利用することができます。
本特例は、3,000万円特別控除と併用可能であり、適切に活用すれば税負担を大幅に軽減できます。

1.特例の概要
マイホームを売却した場合、譲渡所得のうち6,000万円以下の部分について、通常より低い税率が適用されます。
税率(長期譲渡所得)
6,000万円以下では、税率14.21%(所得税10%+住民税4%+復興特別所得税)
6,000万円超では、税率20.315%(所得税15%+住民税5%+復興特別所得税)
※通常の長期譲渡所得の税率は20.315%です。

2.適用要件
主な要件は以下の通りです。
・自己の居住用財産であること。

・住まなくなった自宅に関しては3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること。

・家屋を取り壊した場合の家屋およびその敷地の場合には、次の3つの要件すべてに当てはまるもの。
(イ) 取り壊された家屋およびその敷地は、家屋が取り壊された日の属する年の1月1日において所有期間が10年を超えるものであること。
(ロ) その敷地の譲渡契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。
(ハ) 家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を貸駐車場などその他の用に供していないこと。

3.留意点
(1)所有期間の判定
所有期間は譲渡年の1月1日時点で判定します。

(2)共有名義
夫婦共有の場合には、各人ごとに判定し、各人ごとに適用します。

(3)他の特例との併用
買換え特例、譲渡損失特例とは併用不可です。

【参考】国税庁:マイホームを売ったときの軽減税率の特例

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