原価計算では、実際に発生した原価だけでなく、あらかじめ設定した予定原価や標準原価を利用することがあります。両者は似ていますが、その設定方法や目的には違いがあります。
予定原価とは、将来における材料等の予定消費量と予定価格を用いて計算した原価です。例えば、来期は製品1個につき材料を10kg使用し、材料単価を500円と見込む場合、材料費の予定原価は5,000円となります。過去の実績や予算、将来の価格見通しなどを基礎として設定するため、主に予算編成や製品原価の見積りに適しています。
一方、標準原価は、材料の消費量や作業時間などについて、科学的・統計的な調査を行い、企業が達成すべき能率の尺度として設定する原価です。例えば、通常の仕損や作業ロスを考慮したうえで、適正に製造すれば材料は9.5kgで済むと判断した場合、その数量を標準消費量として設定します。
そのため、標準原価と実際原価を比較することで、材料価格差異、材料数量差異、賃率差異、作業時間差異などを分析し、コスト増加の原因を把握できます。標準原価は単なる見積額ではなく、原価管理のためのものさしとして利用される点が特徴です。
なお、実際原価計算でも材料単価などに予定価格を使用することがあります。実際の消費量を基礎としていれば、予定価格を使用していても実際原価計算に該当します。
予定原価や標準原価を使用する場合には、実際発生額との差異を把握し、原因分析を行うとともに、決算では原価差異を適切に処理することが重要です。
