原価計算を行う際には、企業で発生したすべての費用を製品原価に含めるわけではありません。「どこまでを原価として計算するのか」を適切に整理することが重要です。
原価計算基準では、原価を、企業の正常な経営活動に関連して消費された財貨やサービスの価値として捉えています。製造業であれば、原材料費、製造に携わる従業員の労務費、工場の減価償却費・水道光熱費などが代表的な製造原価です。
一方、財務諸表上の原価は、製品原価と期間原価に区分されます。通常、材料費・労務費・製造経費などの製造原価は製品原価として仕掛品や製品に集計され、販売された時点で売上原価となります。これに対し、販売部門の人件費、広告宣伝費、本社管理部門の費用などの販売費及び一般管理費は、原則として発生した期間の費用として処理します。
さらに、原価計算基準には非原価項目という考え方があります。支払利息などの財務費用、投資目的の資産に関する費用、火災・災害による損失、異常な仕損や棚卸減耗、固定資産売却損など、正常な製造・販売活動に関連しない費用や異常な損失は、原則として原価には算入しません。
また、経営上の意思決定のために機会原価や差額原価などを分析することもありますが、これは制度としての原価計算とは区別され、特殊原価調査として扱われます。
適正な原価計算には、費用を単に集計するだけでなく、その費用が正常な事業活動に関連するか、製品原価か期間原価かを判断することが重要です。原価の範囲を適切に定めることは、棚卸資産・売上原価の正確な計算だけでなく、製品別の採算管理にもつながります。
