パススルー課税について

パススルー課税は、投資ファンドなどでキャピタルゲインや配当金などの利益を得ても、投資ファンドでは課税されず、利益配分を受けた出資者や構成員に課税されるものです。パススルー課税は、構成員課税とも呼ばれます。

投資ファンドに課税が行われると、出資者に課税後の利益が分配されることになり、その分配金に対してもさらに所得税が課税されるという二重課税が発生します。投資効率が大幅に低下することがないように、一定の法制度に基づいて設立された組合においてはパススルー課税が適用されます。

パススルー課税の対象としては、有限責任事業組合(LLP)、投資事業有限責任組合(LPS)、任意組合が挙げられます。

また、J-REITのような投資法人(「投資信託及び投資法人に関する法律」に基づいて設立される法人。)においては、配当可能利益の90%超を分配する等の要件を満たせば、配当等の額を損金算入でき、結果的に法人税は課税されないため、実質上パススルー課税と同様です。

【参考】国税庁:パス・スルー課税のあり方-組合事業における組合員の課税関係とその諸問題-

過少資本税制とは

国際的な企業グループでは、親会社から子会社への貸付を利用し、利息を通じて利益を移転するスキームが問題となることがあります。こうした税源浸食を防止するために設けられているのが「過少資本税制」です。本制度は、一定以上の借入に対する支払利息の損金算入を制限するものであり、国際税務において重要な位置づけを持ちます。

1.制度の概要
過少資本税制とは、国外関連者からの借入金が過大である場合に、その借入に係る利息の一部について、損金算入を認めない制度です。
これは、自己資本に対して過度に借入金に依存している企業に対し、税務上の調整を行う仕組みといえます。

2.適用対象
対象となるのは、主に外国親会社などの国外関連者からの直接借入、国外関連者が保証している第三者借入です。
つまり、実質的に国外関連者から資金供給を受けている場合には広く適用対象となります。

3.判定基準(3:1ルール)
過少資本税制では、次の基準により判定します。
関連者借入金 > 自己資本×3倍
この基準を超える部分が「過大借入」とされます。

4.損金不算入額の計算
過大借入に対応する利息は、次のように計算されます。
損金不算入額 = 支払利息 ×(過大借入金 ÷ 総借入金)
これにより、借入の一部に対応する利息が税務上否認されます。

5.実務上の重要ポイント
(1)自己資本の定義
判定に用いる自己資本は、税務上の資本(資本金+利益剰余金等)であり、単なる資本金ではない点に注意が必要です。

(2)保証の影響
第三者借入であっても、親会社保証がある場合は対象となるため、見落としがちな論点です。

(3)過大支払利子税制との関係
過少資本税制に加え、過大支払利子税制(EBITDA基準)も適用される可能性があり、いずれか厳しい方で制限されます。

過少資本税制は、借入過多を抑制する制度、利息損金算入を制限する国際税務上重要な規制です。

借入の過大さが税務リスクになるため、国外関連者との資金取引がある企業では、資本構成の設計が税務上の重要な論点となります。事前のシミュレーションと継続的な管理により、リスクの最小化を図ることが求められます。

【参考】国税庁:過少資本税制の理念と諸問題

関連コラム:過大支払利子税制とは

中古資産の耐用年数

事業において設備投資を行う際、新品ではなく中古資産を取得するケースは少なくありません。中古資産は取得コストを抑えられる一方で、税務上の減価償却においては耐用年数の取扱いが新品とは異なります。この耐用年数の設定を誤ると、過大・過少な償却につながるため、正確な理解が必要です。

1.基本的な考え方
中古資産の耐用年数は、法定耐用年数をそのまま使うのではなく、使用可能期間を見積もることが原則です。
ただし、実務では見積りが困難なため、簡便法(簡易計算)が広く用いられています。

2.簡便法による耐用年数
中古資産の耐用年数は、以下のように計算します。
(1)法定耐用年数の全部を経過している場合
法定耐用年数 × 20%
※1年未満切捨て、最低2年
(2)一部を経過している場合
(法定耐用年数 − 経過年数)+ 経過年数 × 20%
この方法により、残存価値を考慮した合理的な年数が算定されます。

3.実務上の重要ポイント
(1)経過年数の把握
中古資産の取得時には、前所有者の使用期間(経過年数)を正確に把握することが重要です。
(2)見積法の選択
合理的に見積もれる場合は、実態に基づく耐用年数の設定も可能です。
ただし、税務調査で説明できる根拠が必要です。
(3)短期償却のメリット
中古資産は耐用年数が短くなるため、早期に費用化できる(節税効果)というメリットがあります。

中古資産の耐用年数は、簡便法で算定可能、経過年数が重要、短期償却のメリットという特徴があります。
中古資産は耐用年数をどう設定するかで節税効果が変わります。
中古資産はコスト削減と節税の両面で有効な投資手段です。ただし、耐用年数の設定にはルールがあるため、取得時点で適切に判断し、税務上のメリットを最大限活用することが重要といえるでしょう。

【参考】国税庁:中古資産の耐用年数

関連コラム:減価償却費の損金算入限度額

顧問税理士を探す際のポイント

顧問税理士を探す際のポイントを簡単にご紹介致します。

①仕事が早く、期日内に余裕をもって決算や申告を終える。
→申告期限内に仕事が終わらなければ、延滞税等クライアントに迷惑が掛かってしまいます。
②幅広く経営に関する相談ができる。
→資金調達、管理部門の悩み、会社や事業の将来に向けた話ができるか、そもそも気軽に相談できるかは重要かと思います。
③経理の業務改善、節税に関する相談ができるか。
→会計ソフト含む経理周辺のITに詳しいかも判断要素かと思います。
④会社の規模感に応じた会計事務所であるか。
→スタートアップの会社が、オーバースペックな大きな事務所に依頼すると税理士報酬が高くなります。また、規模の大きな会社で複雑な会計処理、税務処理がある場合に小規模な事務所で対応しきれないおそれがあります。

税理士が直接担当してくれるか、担当する税理士と相性が良いかも重要なポイントです。

法人税における所得税額控除

法人が支払を受ける利子、配当について、所得税法、租税特別措置法または復興財源確保法に基づいて、源泉徴収される所得税および復興特別所得税の額は、法人税の額から控除することができます。

法人税の額から控除することができる所得税および復興特別所得税の額は、株式や投資信託の所有期間に対応する所得税額を控除します。

所有期間対応分の計算について

・原則法
控除対象の所得税額=配当等に対する所得税額×(元本の所有期間の月数/配当等の計算基礎となった期間の月数

・簡便法
①配当等の計算期間が1年以下のもの
控除対象の所得税額=配当等に対する所得税額×(A+(B-A)×1/2)÷B
②配当等の計算期間が1年を超えるもの
控除対象の所得税額=配当等に対する所得税額×(A+(B-A)×1/12)÷B

A=配当の計算の基礎となった期間の開始時に所有していた元本の数
B=配当の計算の基礎となった期間の終了時に所有していた元本の数

原則法と簡便法は有利な方を採用できます。

法人税の申告書のうち、別表六(一) 「所得税額の控除に関する明細書」に記載します。

国税庁:所得税額控除
関連コラム:受取配当金の益金不算入