納税管理人の選任について

 非居住者は、確定申告書の作成・提出、税務署からの書類の受け取り、納税や還付金の受領等の納税義務を果たすために納税管理人を定める必要があります。

 非居住者の所得のうち、日本国内で発生した一定の所得については、引き続き日本の所得税が課税されます。
 一般的に非居住者が①~④の所得が一定額以上ある場合、確定申告書を提出する必要があります。

①日本国内にある資産の運用または保有により生じる源泉徴収されない所得
②日本国内にある資産の譲渡により生じる所得
③日本国内の不動産所得
④日本国内にある営業所を通じて締結した保険契約に基づく一時金

 また、相続税・贈与税、固定資産税の納税義務がある場合には、納税管理人を定める必要があります。

 納税管理人を定めたときには、その非居住者の納税地を所轄する税務署長に所得税・消費税の納税管理人の届出書を提出します。

国税庁:海外勤務と納税管理人の選任

居住者と非居住者の区分について

所得税法では、「居住者」を国内に住所を有するか、または、現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人を指し、「居住者」以外の個人を「非居住者」としています。

住所は個人の生活の本拠を指し、生活の本拠かどうかを客観的事実によって判定することになります。

なお、国内に居住することとなった個人が、以下の①か②に該当する場合に、国内に住所を有する者と推定されます。
①国内において、継続して一年以上居住することを通常必要とする職業を有する
②日本国籍を有し、かつ、国内において生計を一にする配偶者その他の親族を有することその他国内におけるその者の職業及び資産の有無等の状況に照らし、国内において継続して一年以上居住するものと推測するに足りる事実がある

また、国外に居住することとなった個人が、以下の①か②に該当する場合に、国内に住所を有しない者と推定されます。
①国外において、継続して一年以上居住することを通常必要とする職業を有する
②外国の国籍を有しまたは外国の法令によりその外国に永住する許可を受けており、かつ、国内において生計を一にする配偶者その他の親族を有しないことその他国内における職業および資産の有無等の状況に照らし、再び国内に帰り、主として国内に居住するものと推測するに足りる事実がない

国税庁:居住者と非居住者の区分

過少資本税制とは

国際的な企業グループでは、親会社から子会社への貸付を利用し、利息を通じて利益を移転するスキームが問題となることがあります。こうした税源浸食を防止するために設けられているのが「過少資本税制」です。本制度は、一定以上の借入に対する支払利息の損金算入を制限するものであり、国際税務において重要な位置づけを持ちます。

1.制度の概要
過少資本税制とは、国外関連者からの借入金が過大である場合に、その借入に係る利息の一部について、損金算入を認めない制度です。
これは、自己資本に対して過度に借入金に依存している企業に対し、税務上の調整を行う仕組みといえます。

2.適用対象
対象となるのは、主に外国親会社などの国外関連者からの直接借入、国外関連者が保証している第三者借入です。
つまり、実質的に国外関連者から資金供給を受けている場合には広く適用対象となります。

3.判定基準(3:1ルール)
過少資本税制では、次の基準により判定します。
関連者借入金 > 自己資本×3倍
この基準を超える部分が「過大借入」とされます。

4.損金不算入額の計算
過大借入に対応する利息は、次のように計算されます。
損金不算入額 = 支払利息 ×(過大借入金 ÷ 総借入金)
これにより、借入の一部に対応する利息が税務上否認されます。

5.実務上の重要ポイント
(1)自己資本の定義
判定に用いる自己資本は、税務上の資本(資本金+利益剰余金等)であり、単なる資本金ではない点に注意が必要です。

(2)保証の影響
第三者借入であっても、親会社保証がある場合は対象となるため、見落としがちな論点です。

(3)過大支払利子税制との関係
過少資本税制に加え、過大支払利子税制(EBITDA基準)も適用される可能性があり、いずれか厳しい方で制限されます。

過少資本税制は、借入過多を抑制する制度、利息損金算入を制限する国際税務上重要な規制です。

借入の過大さが税務リスクになるため、国外関連者との資金取引がある企業では、資本構成の設計が税務上の重要な論点となります。事前のシミュレーションと継続的な管理により、リスクの最小化を図ることが求められます。

【参考】国税庁:過少資本税制の理念と諸問題

関連コラム:過大支払利子税制とは

iDeCoについて

iDeCoは、20歳以上65歳未満の方が、自ら拠出した掛金を運用し、資産を形成する年金制度です。掛金は65歳になるまで拠出可能で、60歳以降に老齢給付金を受け取ることができます。

iDeCoのメリット
・掛金全額が小規模企業共済等掛金控除として、所得控除の対象となります。
・金融商品の運用益が非課税で再投資されます。
・年金として受け取る場合の税優遇があります。年金として受け取る場合には公的年金等控除、一時金の場合は退職所得控除の対象となります。
年金と一時金の併用も可能です。

iDeCoのデメリット
・まとまったお金が必要な時期が生じても、60歳まで資産を引き出せません。また、途中解約不可です。
・運用状況によって、資産が増減するため、元本割れするリスクがあります。
・口座維持手数料等の各種手数料が必要になります。

参考:iDeCo(イデコ)公式サイト

関連コラム:フリーランスのための節税方法

中古資産の耐用年数

事業において設備投資を行う際、新品ではなく中古資産を取得するケースは少なくありません。中古資産は取得コストを抑えられる一方で、税務上の減価償却においては耐用年数の取扱いが新品とは異なります。この耐用年数の設定を誤ると、過大・過少な償却につながるため、正確な理解が必要です。

1.基本的な考え方
中古資産の耐用年数は、法定耐用年数をそのまま使うのではなく、使用可能期間を見積もることが原則です。
ただし、実務では見積りが困難なため、簡便法(簡易計算)が広く用いられています。

2.簡便法による耐用年数
中古資産の耐用年数は、以下のように計算します。
(1)法定耐用年数の全部を経過している場合
法定耐用年数 × 20%
※1年未満切捨て、最低2年
(2)一部を経過している場合
(法定耐用年数 − 経過年数)+ 経過年数 × 20%
この方法により、残存価値を考慮した合理的な年数が算定されます。

3.実務上の重要ポイント
(1)経過年数の把握
中古資産の取得時には、前所有者の使用期間(経過年数)を正確に把握することが重要です。
(2)見積法の選択
合理的に見積もれる場合は、実態に基づく耐用年数の設定も可能です。
ただし、税務調査で説明できる根拠が必要です。
(3)短期償却のメリット
中古資産は耐用年数が短くなるため、早期に費用化できる(節税効果)というメリットがあります。

中古資産の耐用年数は、簡便法で算定可能、経過年数が重要、短期償却のメリットという特徴があります。
中古資産は耐用年数をどう設定するかで節税効果が変わります。
中古資産はコスト削減と節税の両面で有効な投資手段です。ただし、耐用年数の設定にはルールがあるため、取得時点で適切に判断し、税務上のメリットを最大限活用することが重要といえるでしょう。

【参考】国税庁:中古資産の耐用年数

関連コラム:減価償却費の損金算入限度額