新NISAについて

2024年からスタートした新NISA(少額投資非課税制度)は、個人の資産形成を大きく後押しする制度として注目されています。税理士の視点から見ると、「非課税メリットをいかに長期で最大化できるか」が最も重要なポイントです。

新NISAの最大の特徴は、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の併用が可能になった点と、非課税保有期間が無期限化された点です。これにより、年間最大360万円、生涯投資枠1,800万円までの投資について、運用益や配当が非課税となります。従来制度と比較して、長期投資に非常に適した仕組みへと進化しました。

税務上のメリットは明確です。通常、株式や投資信託の利益には約20%の税金がかかりますが、新NISAを利用すればこの課税が一切ありません。例えば、1,000万円の運用益が出た場合、本来であれば約200万円の税負担が発生しますが、新NISAではこれがゼロになります。長期で見れば、その差は非常に大きなものとなります。

一方で、注意点もあります。新NISAは損益通算や繰越控除ができないため、課税口座とのバランスを考えた運用が必要です。また、短期売買を繰り返すと非課税枠を有効活用できないため、基本は長期・分散投資が前提となります。

おすすめする活用方法は、まず「つみたて投資枠」で安定的な投資信託を積み立て、その上で余力があれば「成長投資枠」で個別株やETFを組み合わせる戦略です。これにより、リスクを抑えつつリターンの最大化を図ることができます。

新NISAは、単なる投資制度ではなく「税制優遇を活用した資産形成ツール」です。制度の特徴を正しく理解し、長期的な視点で活用することが、資産を効率的に増やすための鍵となります。

【参考】金融庁:NISAを知る:NISA特設ウェブサイト

インボイス制度について

令和5年10月1日からインボイス制度が始まりました。

適格請求書等保存方式は、消費税の仕入税額控除の方式です。インボイス制度導入後、仕入税額控除を受けるためには、一定の要件を満たした適格請求書(インボイス)の発行・保存が必要になります。

適格請求書がなければ仕入税額控除は適用されません。

適格請求書を発行できるのは、適格請求書発行事業者のみです。
課税売上が1,000万円以下の免税事業者でも、適格請求書発行事業者となるためには、消費税の課税事業者となる必要があります。

国税庁:適格請求書等保存方式の概要(インボイス制度の理解のために)

関連コラム:インボイス制度における経過措置

相続人の確定とは

相続税申告において最初に行うべき作業が「相続人の確定」です。相続人の範囲を誤ると、遺産分割や税額計算に重大な影響を及ぼすため、極めて重要なプロセスといえます。

1.相続人の確定の基本
相続人は、民法の規定に基づき決定されます。主な順位は以下の通りです。
第1順位:子(代襲相続あり)
第2順位:直系尊属(父母や祖父母)
第3順位:兄弟姉妹(代襲は甥姪まで)
また、配偶者は常に相続人となります。
誰が相続人となるかは、被相続人の家族構成と存否によって決まります。

2.戸籍収集の重要性
相続人を確定するためには、被相続人の出生から死亡までの戸籍一式を収集する必要があります。
認知された子の有無、養子縁組の有無、離婚・再婚歴を確認するためです。
特に、過去の婚姻歴がある場合は、前婚の子が相続人となるケースも多く、見落としが生じやすいポイントです。

3.実務上の重要ポイント
(1)代襲相続の確認
子が既に死亡している場合、その子(孫)が相続人となる「代襲相続」が発生します。兄弟姉妹の場合も、甥・姪まで代襲が認められます。
(2)養子の取扱い
養子も実子と同様に相続人となります。ただし、相続税の基礎控除計算では算入人数に制限があるため、税務上の取扱いには注意が必要です。
(3)相続放棄の影響
相続放棄があった場合、その者は初めから相続人でなかったものとみなされます。これにより、次順位の相続人が繰り上がる点に注意が必要です。
(4)非嫡出子の扱い
現在では嫡出子と同様の相続分となっており、差異はありません。

相続人の確定は、相続手続の出発点、税額計算の基礎、遺産分割の前提となる重要な作業です。
戸籍を最後まで追わない限り、相続人は確定しません。初期段階での丁寧な確認が、必要となります。
相続人の確定を正確に行うことで、その後の相続手続や税務処理を円滑に進めることができます。

【参考】国税庁:相続人の範囲と法定相続分

関連コラム:相続税の概要

関連コラム:生前贈与と相続のどちらが得か

短期譲渡と長期譲渡の違い

不動産を売却した際の税金は、「短期譲渡」と「長期譲渡」のどちらに該当するかによって大きく異なります。この区分を正しく理解することは、税負担を把握するうえで非常に重要です。

まず区分の基準ですが、不動産の所有期間によって判定されます。具体的には、「売却した年の1月1日時点」で所有期間が5年以下であれば短期譲渡、5年を超えていれば長期譲渡となります。ここで注意したいのは、取得日から単純に5年ではなく、あくまで1月1日時点で判定する点です。例えば、2018年6月に取得した不動産を2023年7月に売却した場合でも、2023年1月1日時点では所有期間が5年以下のため、短期譲渡に該当します。

税率の違いも大きなポイントです。短期譲渡の場合は、所得税・住民税を合わせて約39%と高率で課税されます。一方、長期譲渡であれば約20%となり、税負担は大きく軽減されます。この差は非常に大きく、売却時期を少し調整するだけで数百万円単位の税額差が生じることもあります。

また、居住用財産の売却であれば、3,000万円の特別控除などの特例が適用できる場合がありますが、短期・長期の区分自体はこれらの特例とは別に判定されます。そのため、特例の適用とあわせて、所有期間の確認も必ず行う必要があります。

実務上は、「あと数ヶ月待てば長期になる」というケースも多く見られます。不動産売却はタイミングの影響が大きいため、売却を急ぐ前に税務面のシミュレーションを行うことが重要です。

短期譲渡と長期譲渡の違いを理解し、適切な売却時期を見極めることで、無駄な税負担を回避することができます。不動産の売却を検討する際には、事前に税理士へ相談し、最適な判断を行うことをおすすめします。

【参考】譲渡所得の計算のしかた(分離課税)

関連コラム:不動産譲渡所得に関する取得費

免税事業者が課税事業者となった場合の棚卸資産に係る消費税額の調整

従来、免税事業者だった事業者が新たに課税事業者となる場合に、期首に所有する棚卸資産のうち、免税事業者でいた際に仕入れた棚卸資産について、課税仕入れ等の税額は、課税事業者となった課税期間の課税仕入れ等に係る消費税額とみなして仕入控除税額の計算の対象に含めることができます。

上記とは逆に、課税事業者が免税事業者となった場合には、棚卸資産に係る消費税額の調整が必要です。課税事業者の間に仕入を行った棚卸資産に関して仕入控除税額の計算の対象に含めることができません。

国税庁:免税事業者が課税事業者となった場合の棚卸資産に係る消費税額の調整