令和7年度の所得税の基礎控除の見直し

令和7年度税制改正により、所得税の基礎控除、給与所得控除が見直しされ、特定親族特別控除が新設されました。
令和7年分以後の所得税について適⽤され、令和7年12月に行う年末調整に影響が生じます。

1.基礎控除の見直し
以下のように、合計所得金額に応じて、基礎控除額が改正されました。
合計所得⾦額132万円以下:95万円(改正前:48万円)
合計所得⾦額132万円超336万円以下:88万円(令和9年分以後は58万円)(改正前:48万円)
合計所得⾦額336万円超489万円以下:68万円(令和9年分以後は58万円)(改正前:48万円)
合計所得⾦額489万円超655万円以下:63万円(令和9年分以後は58万円)(改正前:48万円)
合計所得⾦額655万円超2,350万円以下:58万円(改正前:48万円)

2.給与所得控除の見直し
給与所得控除は、最低保障額が55万円から65万円に引き上げられました。

3.特定親族特別控除の新設
居住者が特定親族(居住者と生計を一にする年齢19歳から23歳未満の親族)を有する場合には、その居住者の総所得金額から、その特定親族1⼈につき、その特定親族の合計所得金額に応じて63万円を控除する特定親族特別控除が新設されました。

【参考】国税庁:令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について

インボイス制度における経過措置

2023年10月に開始された適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)により、仕入税額控除の要件が大きく変更されました。原則として、適格請求書(インボイス)の保存がなければ仕入税額控除は認められません。しかし、制度開始に伴う急激な影響を緩和するため、一定期間の「経過措置」が設けられています。

 

1.インボイス制度における経過措置の概要

インボイス制度では、免税事業者からの仕入については原則として仕入税額控除ができません。ただし、制度導入後すぐに取引関係を変更することが困難であることから、段階的に控除を認める措置が設けられています。

 

具体的には以下の通りです。

期間:2023年10月〜2026年9月 控除割合80%

期間:2026年10月〜2029年9月 控除割合50%

つまり、経過措置の期間においては、免税事業者からの仕入であっても一定割合については仕入税額控除が可能です。

 

2.適用要件

経過措置の適用には、以下の要件を満たす必要があります。

・帳簿に一定事項(相手方の氏名、取引内容、対価等)を記載していること

・免税事業者等との取引であること

 

3.実務上の重要ポイント

(1)経過措置は期間限定

インボイス制度における経過措置は2029年9月で終了します。したがって、長期的には免税事業者との取引関係の見直しが行われる可能性があります。

 

(2)簡易課税との関係

簡易課税制度を採用している場合、仕入税額控除はみなし仕入率で計算されるため、経過措置の影響を直接受けない点にも留意が必要です。

 

(3)帳簿保存の重要性

インボイスが不要である分、帳簿記載の正確性が重視されます。

 

インボイス制度の経過措置は、制度移行期の負担を緩和する重要な仕組みです。

一定期間は仕入税額控除が可能ですが、段階的に縮小され、将来的には完全廃止されます。

 

インボイス制度への対応は、単なる税務処理にとどまらず、取引関係や価格設定にも影響を及ぼします。経過措置の期間中に、将来を見据えた対応を検討することが重要です。

 

【参考】国税庁:インボイス制度について

関連コラム:インボイス制度について

短期保有株式の益金不算入

法人が受け取る配当金には、二重課税を排除する観点から益金不算入の制度が設けられています。しかし、すべての配当がこの恩恵を受けられるわけではありません。特に注意が必要なのが、短期保有株式に該当する場合です。

1.短期保有株式とは
短期保有株式とは、配当等の支払基準日以前の1か月以内に取得し、支払基準日の2か月以内に譲渡した株式をいいます。
制度の趣旨は、配当狙いの短期売買による節税の防止です。

2.益金不算入の取扱い
通常、受取配当金は保有割合に応じて一定割合が益金不算入となりますが、短期保有株式に該当する場合は原則として益金不算入の適用が制限されます。

3.実務上の重要ポイント
(1)取得時期の確認
短期保有株式の判定は、配当基準日前の取得時期で決まります。
(2)保有目的の考慮
長期保有目的であっても、短期的な売買が存在するケースで、形式的に短期保有に該当すれば適用除外となるため注意が必要です。
(3)区分管理
株式は取得日ごとに管理する必要があります。

短期保有株式は、配当狙いの取引を制限、益金不算入の適用外、取得時期の管理が重要という特徴があります。

配当の税務は持っている期間で扱いが変わります。
受取配当金の税務は、単に保有割合だけでなく保有期間によっても大きく左右されます。短期売買を行う企業や投資を積極的に行う法人においては、取得時期の管理と税務影響の把握が不可欠といえるでしょう。

【参考】国税庁:受取配当等の金額

関連コラム:受取配当金の益金不算入

関連コラム:みなし配当とは

受取配当金の益金不算入

法人が他の法人から配当金を受け取った場合、その全額が課税対象になるわけではありません。これは、配当の原資となる利益が既に支払法人で法人税の課税を受けているため、受取側で再度課税すると二重課税となるからです。この問題を調整する制度が受取配当金の益金不算入です。

1.制度の概要
受取配当金の益金不算入とは、法人が受け取った配当金の一部または全部を課税対象から除外する制度
です。

2.不算入割合の考え方
不算入の割合は、株式の保有割合によって異なります。
(1)完全子会社株式等(100%)
100%益金不算入
(2)関連法人株式等(1/3超)
原則100%益金不算入
※ただし負債利子控除あり
(3)その他株式(5%超〜1/3以下)
50%益金不算入
(4)5%以下の株式
20%益金不算入

3.実務上の重要ポイント
(1)負債利子控除
一定の株式については、対応する負債利子相当額を控除する必要があります。
(2)区分管理
株式の保有割合ごとに、適切な区分管理が必要です。
(3)みなし配当との関係
自己株式の取得などによるみなし配当も対象となるため注意が必要です。

配当はもらった金額ではなくどれだけ課税されるかが重要です。

グループ会社間の配当政策や投資戦略において、益金不算入の取扱いは税負担に直結します。保有割合や資金調達との関係を踏まえ、最適な資本政策を設計することが重要といえるでしょう。

【参考】国税庁:受取配当等の益金不算入

関連コラム:法人税における所得税額控除

関連コラム:短期保有株式の益金不算入

ふるさと納税の2025年10月からの変更点

2025年10月からふるさと納税の制度改正が施行され、ふるさと納税の仲介サイト(さとふる、ふるさとチョイス、楽天ふるさと納税等の納税ポータルサイト)は、ふるさと納税の寄付に対してポイントの付与を行うことができなくなります。
仲介サイトへの手数料への自治体の財政負担が大きいことやポイント付与に係わる競争が過熱し、ふるさと納税本来の趣旨から逸れてきていることが理由とされています。
ふるさと納税をクレジットカードで支払った場合には、クレジットカードのポイントは従来通り付与されます。

返礼品に加えてワンストップ特例事務や寄附金受領証の発行などの付随費用も含めて寄附金額の5割以下とするルールが適用されることで、経費が占める割合が増えて、返礼品の占める割合が減る可能性があります。

加工品のうち熟成肉と精米について、原材料が当該地方団体と同一の都道府県内産であるものに限り、返礼品として認めるとされ、他県産の肉や米を加工した製品を返礼品に設定する自治体の返礼品が変更されることとなります。

参考:総務省 ふるさと納税の次期指定に向けた見直し

参考:総務省 ふるさと納税に係る指定制度について

関連コラム:ふるさと納税制度の概要と節税効果について